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義父に会う

 スージー宅へ。荷物を届けるだけだ。
 終わってクルマに乗ろうとしたら、義父が現れた。左右を、老齢の女性に抱えられて。一歩は3センチくらいしか進まない。
 いつもなら「やあどうもどうもパトリックさん、休んでけれ」と人懐こく話しかけるはずが、一言もない。ただ、支援の女性たちの励ます声だけが響く。(近所の人であることを後で知る)

 どうしたというのだ。具合が悪いとは聞いていたが、ここまでとは。いつもカブで颯爽と街を走っていたではないか。簡保の局長(正しい役職名は不明)として、ゼロから立ち上げた地元の名士ではないか。それが、アシモよりも覚束ない足取りで。話しかけても、返事はない。「んん」と中途半端な声をもらしただけだ。

 なんとか玄関にたどり着いて座った義父。彼にとっての孫がいた。
「ほら、ポーシャ、おじいちゃんだよ」と前に押し出してやる。
 すると苦しそうな顔をしていた義父が、にっこりしてこれだけ言った。
「……ポーちゃん」
 何度も聞いた、あの、慈しみにあふれた声だ。どんなことでも受け入れる、そしておそらく最後の孫に対する、温かい声。
 もう泣きそうになった。
 用は済んだので、そこを辞去した。埋め合わせのように丁寧に挨拶する義母に対し、義父は黙ったままであった。

 目が、生きている目じゃないよ。

 帰り道、ハンドルを握りながら私は泣いた。スージーはすでにこのことを知っていたのかもしれない。

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