256 イカロス君の大航海 澤田弘崇
図書館より。日経印刷。
2010年5月21日、世界初のソーラー電力セール実証機、イカロスは種子島より打ち上げられた。金星探査機あかつきや大学の小さな衛星とともに。一年後の現在、イカロスは世界初を連発しながら、宇宙ヨットとして太陽の周りを回っている(NASAの「ナノセール」は地球周回)。
イカロスには愛されるあだ名がある。それは広報実証機というものだ。宇宙に出た途端、ツイッターの画像がゆるキャラのような姿になり、無邪気な坊やとして好き勝手言い始めたのだ。それでいて大好きな小惑星探査機「はやぶさ兄さん」の最期には涙を流し、宇宙機としての遺志を継ぐ決意を固めた。
そのように愛されるにはイラストの「みみみみドイツ」さんと、若くてノリのいいイカロスチームの尽力が大きい。この絵本には(おっと、絵本だということに触れていなかった!)イカロスくんが地球を離れ、兄弟とも言える分離カメラ姉弟との別れを軸に、彼が成長していく姿が描かれていく。
後半には小学校高学年向けのQ&Aや大人向けの諸元ページがあり、読み応えがある。森先生、津田さん、船瀬さん、佐伯さん、とイカロスウェブログでおなじみの人たちの一言もある。
黒幕の一言。
#イカロスというのは不運な名前に思われるかもしれません。いいえ、そうではないです。私たちが、イカロスに託したのは、ごくあたりまえの技術で作るふつうの人工衛星などの世界から脱出しようということです。その挑戦でこわれるほど高く太陽に近づくまで飛びすぎたら、それは本望なのだという夢なのです。
(実際には太陽に飛び込むには速度が足りないそうですが。不思議ですね。)
実はこの絵本は借りる前にすでに我が家にある。図書館に入れてみんなに読んで欲しくてリクエストしました。図書館の人、ありがとうございました。
うちの娘は幼稚園最終学年でこれを読み、すっかりイカロスくんのファンになりました。値段も安いので、ぜひどうぞ。
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