284 おにぎりの丸かじり 東海林さだお
文春文庫。表紙はおにぎりとヒゲ坊主。
ちょっと今回はおとなしめの巻。笑うというよりしみじみくる。
#ゴルフで、このパットで優勝が決まるということになると、たった30センチの距離なのに手が震えて打てない状態をイップスというが、歯がイップスしているのだ。
松茸を丸かじりしようとして。
#人格的にもダメなやつで、品性下劣、因業にしてあこぎ、業突くにして強欲、目は三角にして凶眼、人品骨柄卑しく、顔ツルツル、そういう人物を思い浮かべてしまう。
突き出しにザーサイさえ出さない店主に対して。罵倒の連鎖は『坊ちゃん』を思わせる。
#忍耐の姿勢の眼前で、常に黄色く揺れつづける飲食の希望の星。
名文。なんだと思いますか。駅弁もペットボトルもなかった列車の中の冷凍みかんです。
#菜の花はあの高さがいいんでしょうね。
#あの高さが親しみを感じさせる。
#人間のちょうど腰のあたり、手のあたりの高さ。
娘がもっと小さいころ、菜の花畑に連れていったことがある。菜の花に隠れて頭が見えなくなってしまった。背も伸びた今では思い出である。そんなことを思い出した。
#わらびはうなだれている。
決まった。
巻末の解説はけらえいこで、さだおさんの似顔絵が似ていておかしい。
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