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290 「タカラ」の山 竹森健太郎

 図書館より。朝日新聞社。副題、老舗玩具メーカー復活の軌跡。

 ダッコちゃん、ミクロマン、チョロQなどでブームを起こした大手玩具メーカー、タカラ。玩具の神様と呼ばれた創業者佐藤安太から、二代目長男博久に社長の座は譲られた。組織的経営を進める二代目。しかし売れ行きは落ち、人材流出に歯止めがかからない。結局、父が復帰、そしてベンチャー企業を立ち上げていた次男慶太を呼び戻し、会社はV字回復を果たす。

 こう書くと二代目が不憫である。玩具には独特な商品である。一つ、生活必需品ではないこと。季節で需要が予想されるものではない。二つ、流行っているものだけが売れ、そうでないものは売れないこと。ブームを起こせるかどうかが大切なのである。

 玩具は売れるかどうかわからない。十個作って三、四当たったら大儲け。そのかわりやはり三つ、四つは大外れになるもの。それを恐れず、若いものも自由にものを言えて発想を生かせる会社であることの大切さが語られる。

 十章それぞれで一人の人物にインタビューをしている(例外もあり)。潰れかかった会社であり、どうしても二代目の悪口になってしまう恐れもあるだろうに、よく語ってくれた、と感心する。

#(三十七億円の赤字を出して)なぜこうした事態になったのか。理由を探れば、先に奥出が語っていた玩具という商品の特性に行き着く。おもちゃは、機能やコストだけに焦点が当たるのでなく、そのもの自体が持つトレンドや情報といった価値で評価が左右される賞品であり、「何が当たるかわからない」からだ。

#よく言えばフレキシブル経営、悪く言えば朝令暮改で行かないことには進まない。だから、フレキシブル経営と組織経営はなじまないんです(細谷憲雄)

#タカラでは、「玩具の出荷額は最低でも上代の52%」という社内目安がある。

#「正直、かなり迷いました。辞表を出す寸前でした。家内は大反対したんです。『会社の景気が悪い時に辞めるなんて、そんなの人間として最低だ』『そんな時に逃げ出すような真似はおかしい』と。」(須佐謙一)

#「やはり会社の経営で一番大切なのは、働いている人が本当に満足して働けることだと思うんですよ」
#「働いている人にとっていい環境を作れる会社というのは、成長している会社だと思うんです。それが結果的に良い業績に結びついて、株主の利益にもつながる。だから、経営側は常に成長し続ける会社を作らないといけないんです」(佐藤慶太)

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