398 極上の接客力 小林哲也
図書館より。主婦と生活社。
帝国ホテルのプロ八人へのインタビュー。結局は誠実さと丁寧さと思いやりである。バーテンダーやソムリエのエピソードがおもしろい。
*新人のころ、ネクタイを忘れた客に自分のを貸してやった。専務から大目玉。「お客様がおっしゃることならなんでもするのか。制服でも貸すのか。それを着たらどこにでも入れるのだぞ」 しかもノーネクタイで接客していたからだ。後に「お前のやり方は間違っていたが、その気持ちは間違っていない」と専務から認められた。(クローク)
叱ったら、フォロー。
*部屋にジョン・レノンがいた。練習していた英語で尋ねる。「どうやってそんなに有名になれたのですか」「有名になりたいと思ったわけではない。あなた方ファンがわたしを有名にしたのだ」 握手した手をしばらく洗えなかった。(ベルマン)
いつ役に立つかはわからないが、いつか役に立つと思って練習していた英語。
*新入社員のとき、サービス専門学校卒に囲まれて、「10オンスのタンブラーを持っていけ」と言われて、「10オンスって何? タンブラーってどれ?」という状態でした。初めてもらった給料で買ったのが「ソムリエマニュアル」という本。(ソムリエ)
*貯金して憧れの「ホテル ドゥ クリヨン」へと渡仏した。自分は帝国ホテルの者で、勉強のために来たと言ったら、食事の最後に黒服が取り囲み、デザートワインを「みんなからのプレゼントです」と渡した。
#私はとうとうその場で声を出して大泣きしてしまいました。(ソムリエ)
クリヨンのサービスを受けたくて貯金して渡仏。そういう人もいるのだ。
#(契約が取れないとき、先輩から助言)「仕事だと思わずに、友だちに勧めるつもりでやってみたら?」(営業)
あっさりと名言。
*アンティシペーション「予期」「先見」
*お客様が花束を持ってホテルに入った。部屋に飾るのかそのまま持ち帰るのかわからなくても、その姿を見たらまずはお部屋に花瓶を届けることを考える。お客様に「花瓶を」と言われなくても届ける。
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