412 女の子どうしって、ややこしい! レイチェル・シモンズ
図書館より。草思社。鈴木淑美、訳。
原題はもっと厳しく、"Odd Girl Out"。「変わった子は仲間はずれ」くらいか。
少女はつねに人気投票にさらされ、人間関係は仲間か敵かに限定され、友情は利用するものである。げんなりするので読み進めるのがつらい本。
女子は男子と違い、おとなしくて分別があることを要求される。少年なら派手な喧嘩をしてもいいが、女子はダブル・スタンダードで裁かれる。すると「攻撃するなら、こっそりやらないと駄目だ」と悟り、「裏攻撃」をするようになる。この裏攻撃というのが本書のテーマの一つである。
#女の子たちは、攻撃に、拳やナイフでなく、しぐさや人間関係を用いる。ここでは友情が武器だ。相手に一日中沈黙されることに比べれば、大声で怒鳴られることなどなんでもない。背を向けること以上に、人を打ちのめす反応があるだろうか。
*男性は「戦うか、敗走するか(ファイト・オア・フライト)」。女性は「世話をし、味方する(テンド・アンド・ビフレンド)」。
だから女子の闘争は周りを巻き込み、長期化かつ複雑化しやすい。
*ナンシーとキャシーは友達。ナンシーはキャシーに、「あの女の子グループは生意気」と書いてよこした。キャシーは、「あのグループに告げ口すれば、好意を持ってもらえるだろう」と思い、そうした。それから女の子グループのナンシーへのいじめが始まった。
キャシーはこう語る。
#「完全な裏切りでした。人気を得たいとか受け入れてほしいからといって、どうしてあれほど卑劣なことができたのか、私にもよくわかりません。」
#アフリカ系アメリカ人の母親は、「黒人女性を差別する社会において、娘が自分の能力をすべて生かす人間になれるよう心をくだく」ことで知られている。
孤立から抜けだした女子。
#「何も気にしなくなったんだと思います。」
#「私は自分自身になったんです。もう同じ目にはあいません。(略)友だちが多くなくても、自分にすることがたくさんあって、したいことをしていればいい、と。クラブ活動を通じて、友だちをつくっていきました。」
教室にいじめがあると。
*誰でもわかります。女の子たちは引っ込み思案になって、性格が変わるし、表情が変わるし、姿勢まで変わります。とにかく引いてしまうんです。教師からも、友だちのグループからも。
#「誰が仲間はずれにされているか、何が起こっているかを知るためには、とにかく表情を見ることです。」
#一般に、いじめている子の親に電話するのは得策ではない。
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