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413 大人のための心理童話(上) アラン・B・チネン

 図書館より。早川書房。羽田詩津子、訳、副題、心の危機に処方する16の物語。

 著者はユング派の精神分析医。童話はシンデレラのような若者のものだけではない。中年(特に夫婦)の物語もあるのだ。冒頭に出てくるのはだれでも知っている「こびとと靴屋」。服や靴を善意から贈った靴や夫婦は、小人という魔法を失い、堅実に暮らすことを余儀なくされる。「鶴の恩返し」との類似も語られる。

 「死すべき運命の王様」が印象深い。山から領地を眺め、永遠の命を欲しがる。しかしある貴族が反対する。「誰もが永遠に生きたらどうなるか想像してみた」と。
#「いいですか、そうなると、歴史上の英雄が、いまだにわれわれのあいだで暮らしているということになります」
 そんな大王や賢者に比べたら、自分たちはせいぜい農民か、田舎の事務員がお似合いだと。

#個人が自己中心的な関心にとらわれている限り、死は厄災でしかありえない。
#もし個人的利益を超越し、個人的な利益以上のことに専心すれば――たとえば子供のこと、社会運動――死の脅威は少なくなる。

*中年童話には男女役割交換が出てくる。男性は、青年時代には権力や地位を求め闘争するが、中年になるとそれから抜け出し、人間関係や感情を大事にする。それは女性的なものである。

*男は女に寄って救われる; 『神曲』のベアトリーチェ。『オデュッセイア』のアテネ、ニンフ、キルケー、ナウシカア。

#夢は中年になると、抑圧から啓示へと変化するのだ。

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