425 小出監督の女性を活かす「人育て術」 小出義雄
図書館より。二見書房。
有森裕子、高橋尚子らを育てた陸上長距離の名伯楽。その熱い人柄から、「濃いで」監督と呼ぶ人もいた(爆笑問題の著書より)。
長距離走のことを「駆けっこ」呼ばわりするのが格好いい。「俺には駆けっこしか才能がない」という意味の言葉が何度も出てくる。
語り下ろしだが、構成がいい。まずは著名ランナーとのエピソードを配置し、この監督はどんな人だろうと関心を持ったところで、子供時代からの人生を振り返る。ガキ大将。農家の跡取り。箱根を走りたくて、三年遅れて入った順天堂大学。高校教師。リクルート。積水化学。濃厚な人生である。東日本駅伝ではあの円谷幸吉と走ったというのだ。
女性、という点で気づいたこと。女子は「先生から見放された」と勝手に思い込むので、ストレートな言葉で気持ちを伝えること。もう一つは、女子はねたむこと。これも一人一人「お前は大事だ」と言ってやらなければならない。
#「選手の自主性に任せる」ことは「指導者の無責任」に通じていると思うのだ。
*大会前に有森裕子のために小出監督が禁煙をした。有森はタバコを「預かります」と持っていった。有森はタバコをショートパンツに縫い付けて、バルセロナの42.195kmを走り切った。「ゴールしたらその一本を私の手から監督に渡して吸って欲しかったから」 ぐしょぐしょになったタバコは特製の額縁に収まった。
#正しいことをコツコツとやっていると、きっといつかはいいことがある
*夫婦げんかをしても、子供の足跡が聞こえたら、スパっとやめて明るく「おはよう」と声を合わせる。バレたようなら妻の方を引き寄せ、ほっぺにチューをしてみせる。
#挨拶だけは、自分の体調が悪かろうと、気分がよくなかろうと、必ずきちんとしなさい
教員時代校長先生がこう言った。
#「きみ、教室で授業中に間違えたことを教えたらいかんから、ゆっくり休んでて、放課後の部活で頑張りなさい」
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