612 まんがで読破 戦争論 クラウゼヴィッツ
図書館より。イースト・プレス。漫画、バラエティ・アートワークス。
物語はクラウゼヴィッツ本人の平明な語り口で、戦争の本質やナポレオンの台頭という時代の様子がよくわかる。師匠のシャルンホルストとの出会い、親友グナイゼナウとの内に秘める熱い友情も感じられる。
*戦争とは相手に自分の意志を強要するための暴力行為である
*戦争に大きく関わるのは「政府の目的」「軍隊の才能」「国民の支持」の三つの要素である。
ところで私はこの「まんがで読破」シリーズの、原典にないオリジナル改変が好きではない。特に当時なかった現代の価値観を持ち込む手法は興をそぐことこの上ない。
だがこれは違う。クラウゼヴィッツが亡くなってからこそ、本作は思考のきらめきを見せる。なぜ発売直後は人気がなかったのか。モルトケとの価値観の違いは。そして本人は「戦争は必ず政治的目的に従属します」と断言しているのに、2版以降では軍事が政治を左右するように書き換えられてしまった事件について。また核兵器後の戦争の姿、テロという非対称戦争(彼我の戦力に隔たりがある)はどのような展開を示すのか。
ここがおもしろい。もちろん文学作品ではないからこそのことである。
#「第三次世界大戦がどんな戦いになるかわからないが、第四次世界大戦ならわかる。人々は石を投げあって戦うだろう」(アルバート・アインシュタイン)
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