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602 この世は落語 中野翠

 図書館より。筑摩書房。

 一つの噺を四、五ページで紹介している。だがカタログにはならず、その噺家のよさやご時世のエッセイも含まれ、いい感じに余分がある。噺の数は五十六で、『馬のす』『札所の霊言』なんて耳にしない話の発掘にも余念がない。
 演者で言えば文楽、志ん生、とりわけ志ん朝が好きなのがよく伝わってくる。
 著者のイラストもいい味を出している。

*江戸時代の消防組織には①大名火消し、②定火消し、③町火消しの三種類があり、①と②は町家の家事にはタッチしない。そればかりか乱暴をするので嫌われていた。

#うだるような熱さの中、ピンクだのオレンジだの黄色だの、甘ったるいお子様カラーのユカタばっかり(私がヒトラーだったら、こういう色のユカタは十五歳以上禁止にしたい)、ハヤリっぽく不規則にカットされた茶髪は結い上げられることもなく、首筋や額に垂らされている。暑苦しい(どうあがいてもブスはブスなんだから、美人に見せようという不毛な邪心を起こさず、<ひとさまのために>、まず一番に清涼感を心がける――それがブスのたしなみというものだ。
 <>内は原文は傍点。

#福田恆存さんが「一時代、一民族の生き方がひとつの型に結集する処に一つの文化が生まれる。その同じものが個人に現れるとき、人はそれを教養と称する」と書かれていますね。

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