608 人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった 鴨頭嘉人
図書館より。新潮社。
著者は元マクドナルドの最優秀店長。大阪生まれで、九州や四国で野球漬けの子供時代を過ごす。上京して初めて見たファストフード(ロッテリア)。愛想をふりまくサンバイザーの女性店員に自分が恥ずかしくなり、急いでリブサンドを食べて店を出た、という田舎者。
それが友達に無理やり連れて行かれた所沢のマクドナルドでアルバイトを始める。体育会系で目立ちたがり屋、認められたがりの男は前向きなのだが必ず大失敗を犯す。
初めてハンバーガーのドレス(バンズにマスタードやケチャップ、オニオンを乗せる作業)をすれば、「誰だこんなハンバーガーを出した奴は!」と社員に怒鳴られる。
マネージャーになって昼時の店の忙しいときにふらりと現れてテキパキ指示を出しアルバイトの尊敬を集めれば、社員から「スタンドプレーはいらない」。それから反省して閉店前に準備をするようになる。
行列で客を待たせる仙台の店にてこを入れるべく店長になった。クルーを集め「この店は基準外だ。これからは俺が基準だ。ついて来られないなら辞めてもいいぞ」と第一声。
著者ががんばるほど空回り。売り上げ盗難、廃棄を食べられる、売上は落ちる、クルーは目も合わせず返事もしない。
そこから学んだことは何か。
読み物としてもおもしろいし、学ぶところも大きい。
*上司が怒鳴りつければ一回で部下の態度が変わるかもしれない。でもそれでは「本質的に気づく」ことはない。人は外からの力では本質的に買われない。自分を変えられるのは自分だけ。
*アルバイトがやってこない天童店。他店舗からヘルプでやって来たスタッフがバイトに「なんでこんなこともできないんだ」と毒づく。著者はバイトを守るため「なんであんな言い方をするのですか。一人採用するのにどれだけ大変かわかってるんですか」と詰め寄る。
*弘前の主婦は月曜日に卵を買う。弘前じゅうのスーパーが一斉に卵をディスカウントするから。そこでテリヤキマックバーガーを月曜日半額にして、売れ行き6倍。
#(店長が店員を)信じられるかどうかでなく、信じると決めてしまう。
*子供の運動会を見にいく父親は、一等賞なら褒めよう、それ以下なら叱ろうなんて思っていなません。一生懸命に走っている姿が見たい、何等賞でもよく頑張ったと抱きしめてあげたいと思っているものです。
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