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617 西尾流高校野球で通用する打ち勝つ野球 西尾弘幸

 図書館より。ベースボール・マガジン社。DVD付き。

 ちょっと前の軟式野球では「三塁エンドラン」が流行した。ボールが弾むことを利用して、スクイズよりも確実に、さらにバッターランナーが生き残る確率を高く、得点を狙うのだ(今はどうか知らない)。
 江戸川区の中学校の野球部の監督である著者は、それをこう否定する。
「試しに練習試合で、セーフティエンドランを駆使して1点を取りにいく野球を実践してみました。すると、相手守備の乱れも生んで、面白いように点が取れました。しかし試合後、私の心に残ったのはむなしさでした。(略:練習試合で)思い切り打たせることをせず、堅実にたたきつけてゴロを打たせていくのでは、選手たちの自信にもなっていかないし、得点が入っても『やった』とは思えませんでした。」

 その一本筋の通った指導観の元、フォームのポイントや練習方法、考え方など多岐にわたる指導のエッセンスが詰まっている。好著。

*逆打ちの練習: 意識させるためアウトコースの地面にボールを置く
*鏡の前でゆっくり素振り: ゆっくりだと理想のスイング、フォームができる
*グリップエンドでスクイズ練習: その後普通にさせると楽に感じる
*右肩が下がるとアッパースイングになる
*シーズン中はノックは週一回。あとは打撃練習。ただしその一回のノックでは考える間を与えずガンガン打ち込む。
*後ろからトスバッティングはフォローが大きくなる。上からのトスは危険で効果が見られないことがあるのでやっていない。横トスはポイントをつかめない選手にはいいが、やり過ぎるとポイントが固定されて融通が利かなくなる。
*設定ゲーム: 外野手は守らない紅白戦。バントやエンドランを使うことになる。「無死二塁から」などと設定する。
*キャッチボールは対角線に呼ぶ(投げる人から見て左側に構える)。投げる人から見て右側に構えると、体が開いてシュート回転し、指もかからない。左投げは逆になる。
#「高校には学力で行きなさい」 (推薦入学でなくて)
*ゴロを転がしてステップ&スロー; 本塁から三塁へゴロ。三塁手は捕球して一塁へ。一塁は本塁へ転送。みな球を放した瞬間次の塁へ走る。
*外野手を含めたボール回し; 捕手はライトに遠投。ライトは内野手二人を中継して三塁へ投げる。投げた瞬間三塁へダッシュ。内野手は三塁から本、一、ニ、三塁と一周回す。ライトは三塁上で受け取ってタッチする。ボールに間に合うようにダッシュするのがミソ。
*最後の大会で負けたとき、メチャメチャ泣くくらいの野球、チーム、仲間、親、指導者であってほしい。
*イップスにはポジションを変えるか、フォーム(オーバースローをサイドスローに等)を変える。
*竹竿を担いでハードルの下に潜り、体を揺らす。股関節の可動域を広める。
*練習試合を年間で130試合は行なっている
 シーズンが6ヶ月で土曜日に2試合したとする。雨天なども考えて土曜日は月に4回あるとすると、2×4×6=48試合。全然足りない。通年で日曜日も入れないとこの回数にはならない。休みは試合、試合ということか。

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