680 野鳥売買メジロたちの悲劇 遠藤公夫
図書館より。講談社プラスアルファ新書。
メジロは美しい声で鳴く。だから狭い鳥かごで飼われ、鳴き比べに出され、高値で取引される。まさに籠の鳥。愛玩して鳥は、マヒワ、ウソ、ホオジロ、メジロ、ヒバリ、ヤマガラ、ウグイスの七種。それも都道府県知事の許可がなければならない。高値で取引される野鳥を巡って、日本や中国の売人が暗躍する。そこで著者は「ドン・キホーテ作戦」と嘯きながら何度も中国や香港に渡り、体を張って悪の手口を暴く。
著者の仲間にはこんな人もいる。平野虎丸という豪快な名前の人だ。メジロの鳴き合わせ会に単身突入する。
「何を言うかお前っ、これは違法じゃなか。輸入メジロでやっちょる」
ウソをいいなさんなと言い合いになった。それじゃあと平野さんはマイクを借りて、
「輸入メジロを持ってきよる人は、鑑定しますから、もってきてくださ~い」
と、繰り返しアナウンスした。しかし、誰も出てこない。
「ほれ、みなさい。ひとりもおらんでしょうが」
虎丸さんの活躍があり、その後熊本市はメジロの鳴き合わせ会に公園を使わせなくなった。
*(中国で)地平線まで見渡す限りが春を待つ農地だ。しかし、ここも広東平野と同じ過剰な利用でないかと思う。環境保全のためには帯状にでも木立を残すべきだろう。強風が吹けば黄砂となって日本まで土が跳ぶ。
*結局、Aは暑い盛りに二〇日間、Kは八日間クーラーもない留置場で暮らした。
*「かるーい気持ちでメジロを捕ったんです。もう懲り懲りです。本当に」
*AもKも弁護士の前で泣いていた。留置場に入れられて、二人はかごのメジロの気持ちが、よくよくわかったという。
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