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816 反省させると犯罪者になります 岡本茂樹

 図書館より。新潮新書。

 著者は中高の英語の先生からカウンセリングの道へ進んだ異色な存在。ぎょっとするような書名だが、刑務所の受刑者支援に長く携わった経験は説得力がある。

*私は子供の問題行動を歓迎します。なぜなら問題行動とは「自己表現」の一つだからです。和子の「しんどさ」が表面化したと捉えることができるのです。
*彼らは孤独が怖いので、「居場所」を求めて人と群れたがります。しかし、彼らが群れている場は「居場所」でなく「たまり場」にすぎません。居場所とは、本来「ありのままの自分」でいられる場所です。弱い自分を出せて安心できる場所だからこそ居場所となるのです。しかし彼らは弱い自分を出し(せ)ません。常に無理をして強さを誇示した姿で人とつながります。そうして形で集まる場は、安心できる場所ではありません。
*「もし今その時の自分に戻ったとしたら、本当は父親に何を言いたい?」と彼の前に椅子を置いて、その椅子に父親が座っていると想像して、そのときに言えなかった言葉を言って見るように促しました。;エンプティチェア・テクニック
*受刑者にとって、出所後に絶対にあってはならないことは再犯です。「二度と事件を起こしません」と固い決意をすることよりも、人に頼って生きていく生き方を身に付けることです。そのことだけでも理解できたら、再犯しない可能性が高まります。
*親は子供を早く「大人」にしようと教育しがちです。子供の頃に子供は、子供らしく育つことで健康的に過ごすことができ、いい大人になれるのです。一方、子供のときから「大人らしさ」を無理して引き出すことは、素直な感情を抑制させることになります。
*幼少期に虐待を受けていた受刑者が私に言ったことがあります。「私は父親に殴られて育った。だから痛みには強いんですよ」と。私は「痛みに強いのではなくて、痛みに鈍感になっているのですよ」と返しました。自分の痛みに鈍感になっている人間に、被害者の心の痛みを理解させることなどできません。
*子供が本音を話しているときに、絶対に言ってはいけないことがあります。正論です。大人の言っていることは間違っていません。間違っていないからこそ、子供は何も言い返せなくなるのです。そうすると、子供はようやく開きかけた心を再び閉ざします。下手をすると、子供は「絶対に本当のことは言わない」と決意し、二度と本音を話さなくなるかもしれません。あるいは、面従腹背の態度になるかもしれません。

  

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