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1114 色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹

 図書館より。文藝春秋。

 高校のボランティアで知り合った主人公たち五人は、乱れなく調和した人間関係を保っていた。卒業後、主人公だけが東京の大学に離れ、戻ってみると誰からも相手にされず、理由も教えてもらえない。三十六歳になった主人公は恋人から背中を押され、十六年前に起こった真実を知る巡礼の旅に出る――。

 (下手なリードしか書けない自分に呆れる。)

 今さらだが、これはおもしろい。まず自分が追放されたのはなぜか、という謎はこの本の軸となるミステリである。主人公はいつものとおりで、まずまずハンサムで、知能は高く、口数は少なく、水泳好きで、飲み物を残す。頭のいいアカやラグビー部の主将のアオ、ピアニストのシロ、魅惑的なクロに比べて自分には色がないことに悩む。

 そしてフィンランドに行ってからのどんでん返し。ミステリの理由はやや強引であるが、主人公がシロへの思いを素直に出せず、夢の中でしか果たせないという軛を自分に付けてしまったことがその遠因なのであろう。青春時代は永遠に続かないと誰もわかっているが、だからといって自分が終止符を打つ役にはなりたくない。時代は過ぎていき、人は退場していくけれど、それには意味があるのだ。

#人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。

#正しい言葉はなぜかいつも遅れて後からやってくる。

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