1259 日本の英語、英文学 外山滋比古
図書館より。研究社。
英語教育についてのエッセイなのであるが、これは渾身の一冊である。明治時代の英語教育、幻になった漱石の文学研究、英文科の消滅、『英語青年』編集の日々。エッセイの形を借りた、知の巨人の「後世へのことば」に聞こえて胸を打つ。
*標準的英文のパラグラフは、AーBーCの三部に分けられる。Aは抽象的表現、Bはその具体例、CはAとBを踏まえた結び、という構造になっている。
だから抽象的なAを読んでわからなくても我慢して進めて具体的なBを読めばわかることが多いのだと言う。「同心円」構造。
#"So much for this morning."
朝日新聞社きっての英語の達人は本を読んで英語を覚えたので、「今日の授業はこれまで」という意味がわからなかった。
#日本語は、そもそも、主語を言わないほうが落ち着くと感じているのである。
#「行きます」と言えば、わたしが行くことになる。「わたしが行きます」と言えば、”ほかの人は行かないで”というニュアンスが出たりするのである。
#人の欠点を見つけるのはうまい学者、教育者が多いなか、大塚(高信)は、専門領域をこえて、すぐれた研究に目をつけて、それをはげました。教師としてもっとも大切な力であるが、実際に、そういうことのできる先生は、暁天の星よりも少ない。
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