1276 サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される メアリー・エイケン
図書館より。ダイヤモンド社。小林啓倫・訳。副題、いまの科学が証明した子育てへの影響の真実。
本書はよくない意味でぐっとくるエピソードから始まる。列車の中で母親が子供にミルクをあげている。子供はお母さんを見つめるが、母親はずっとスマートフォンを見つめているのだ。何十分も。
視線だけではない。ティーンエイジは、自分は誰で、どんなことができて、どんなことができなくて、何をしたいのかを探す疾風怒濤の時代である。それだのにサイバー空間で夢ばかり見ている「サイバーセルフ」のほうが強くなったら実世界の自我はどうなるのか。
実世界では子供はグロテスクなものやポルノから遠ざけられているようになっている。しかしサイバー世界は大人と子供を区別してくれない。
……アイルランド人らしい小ネタを挟んだ語りが専門書らしくなくておもしろい。
*ソーシャルメディア上で時間を過ごしていると、子供たちは社交性を身につけるのではなく、逆にそれが阻害されてしまうのである。
*オンライン脱抑制効果(ODE); オンライン上では、人々は出会った相手のことをより信用し、より短時間で情報を渡すようになる。それにより自分が安全な状態に置かれていると勘違いしやすくなってしまう。
*グラインド; 臼をひくような、単調で退屈な仕事。経験値稼ぎのことをそう呼ぶ。
#ナルシシストの欲望は、他人を思いやる姿勢を追いやってしまうことがある。そして他人の痛みに対して無神経になってしまうのだ。
#古くから、こんなことが言われているーー人間は心、体、そして服から成る。
*カール・ロジャーズは自己概念には三つの要素があると解説した。
*①自分自身をどう捉えているかーーセルフイメージ
*②自分自身にどの程度の価値を感じているかーー自尊心
*③自分自身がどうでありたいかーー理想自己
*BIS; バラット衝動性尺度
*楽しい失敗; スロットマシンで二つ目までリールが揃うような、勝つかもしれないという期待感を持たせる状態
*チャン・シャオイーという中国の13歳の少年が、ワールド・オブ・ウォークラフトを36時間連続でプレイし、高層ビルの窓から飛び降りた。遺書には「ゲームの中のヒーローたちと一緒にいたい」とあった。
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