1278 PTA不要論 黒川祥子
図書館より。新潮新書。
著者はPTA役員を七度務めた。「卒業してよかったと心から思う」と怨念を感じる書名である。役員決めでは軟禁される。平日の昼間に会議が開かれる。頭脳は男、働くのは女、の時代遅れの構図。なぜか権力を握るOB。情報を知らされないいじめ。広報誌は検閲される。任意加入だと知らされない。
さらに歴史的な調査の中でGHQが登場し、結局PTAとは文部省のトップダウン施策であったことが判明する。
#厚生労働省による「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」を見れば、1992年ころから共働き世帯が上回ることが多くなり、1980年と2014年ではその数が逆転している。2016年現在、共働き世帯が1129万世帯に対し、専業主婦世帯は664万世帯となっている。
#PTA会費を払わない家庭の子を、PTA活動に参加させない、会費から出ている物品も配らないというのは、学校内で会員限定サービスをしていることに等しいですから、これでは『社会教育団体』とは名乗れません
#そもそも現在の子どもを巡る問題は、『家庭教育の低下』によるものではなく、1980年代から進められてきた労働の規制緩和による長時間労働や、それが男性労働者のワークライフバランスを阻害していること、若者の非正規化、社会構造の変化によって共働き世帯が増加する中で、子育て支援制度の不備が引き起こす、むしろ制度の側の問題であろう(平井和子 一橋大講師)
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