図書館より。誠文堂新光社。
この項、◇は私のまとめ。▼は引用。
◇HSCとはHighly Sensitive Child (Children)の略。大人の場合はHigh Sensitive Person, HSPと呼ぶ。
▼HSCかどうかを知るための、23のチェックリスト
①すぐにびっくりする
②服の布地がちくちくしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
③驚かされるのが苦手である
④しつけは、強い罰よりも、優しい注意の方が効果がある
⑤親の心を読む
⑥年齢の割に難しい言葉を使う
⑦いつもと違う臭いに気づく
⑧ユーモアのセンスがある
⑨直感力に優れている
⑩興奮した後はなかなか寝付けない
⑪大きな変化にうまく適応できない
⑫たくさんのことを質問する
⑬服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる
⑭完璧主義である
⑮誰かがつらい思いをしていることに気づく
⑯静かに遊ぶのを好む
⑰考えさせる深い質問をする
⑱痛みに敏感である
⑲うるさい場所を嫌がる
⑳細かいこと(物の移動、人の外見の変化)に気づく
㉑石橋を叩いて渡る
㉒人前で発表するときには、知っている人だけの方がうまくいく
㉓物事を深く考える
13個以上に「はい」なら、お子さんはおそらくHSCでしょう。しかし、感覚の方が正確です。たとえ「はい」が一つでも、その度合いが極端に高ければ、お子さんはHSCの可能性があります。
▼HSCの4大特性DOES
Depth of processing深く処理する
being easily Overstimulated過剰に刺激を受けやすい
being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
being aware of Subtle Stimuliささいな刺激を察知する
▼楽しませてあげたいと思ってイベントをやったり、どこかに出かけたりしても、ぐったりして元気がなくなってしまったり、「もう帰りたい」と言い出すのは、HSCの一つの特性です。楽しくないのではなく、刺激を受けすぎてそれに圧倒され、疲れてしまうのです。
◇脳の神経回路で考えると、行動を活発にするシステムと行動を抑制するシステムの二つがある。行動活シグナルはA10神経から発される。行動抑制シグナルは扁桃体が発する。HSCはこの不安の回路がとても強い子供たち。
▼HSPやHSCはその人の生まれ持った気質であって、病気や障害を意味するものではありません。性格や人格とも違います。治したり変えたりできるものではないのです。生まれ持った特性としてうまく付き合っていくことを考えるものなのです。
◇HSCの子供には、「胎内記憶」がある人もいる。お母さんの妊娠がまだ判明していないときに、「今、ママのお腹の中に妹がいる」と言い当てる子もいる。
▼人間は胎生5週目の早い時期から、母体のストレスを感じて体を固めて身を守る恐怖麻痺反射が起こります。痛みなどの物理的な刺激だけでなく、雰囲気なども刺激になって体が固まる反応を起こします。
▼筋肉の緩め方としては、背面の肌への心地よいタッピングや腹ばい呼吸などが有効で、スキンシップや遊びが発達を促し、過敏性を和らげてくれるのです。
▼HSCやHSPは、ともすると敏感に反応しすぎる自分を隠そうとして、感情や感覚を途中でブロックしてしまうか、嘘をついてごまかすようになります。これがパターン化して、神経の高ぶりを慢性化させていくのです。どんどん自己抑制し、マイナス感情が自分の内部に蓄積されてしまうと、それはいずれどこかであふれ、堤防が決壊します。負の感情を、思いっきり吐き出させてあげてください。
▼心理療法の中にも「ハグ療法」というものがあります。「ここは安心できる場所だよ」「あなたを大事に思っているよ」という気持ちでハグをしていると、その人のこわばっていた体が次第にほどけていくのがわかります。
◇著者が診ている子供たちには、吹奏楽をやっている子供が多い。
▼この子の救いになったのは、犬を飼ったことです。犬の世話をするようになり、犬の散歩のために一緒に歩くようになって犬に癒やされ、ひきこもり状態から脱して、外に出られるようになりました。
▼発達障害やHSPの中には、アダルトチルドレン(AC)心性を持つ人が少なくありません。ACとは、親から充分なサポートを受けられずに育ち、自己評価が低く周囲の評価に左右されて極端に不安になり、親に愛されなかった飢餓感や見捨てられ不安を持ち続けている状態の人を言います。
◇超感覚
「マインズ・アイ」イメージしたものを視覚化でき、それを多角視できる(裏側を見るなど)。
「共感覚=シネステジア」文字や数字、音楽に色が見える。
「サヴァン症候群」カレンダーを見ずに曜日を言い当てる。一瞬見たものを細部まで記憶する。
▼「お母さんが、私のことでイライラするのを見るのが一番つらい」
▼敏感なために、世間から奇異な目を向けられることがあったら「この子はそういうのが好きじゃないんですよ」と守ってあげてください。
▼凸凹の凹の部分をなくそうとするのは止めにして、凸の部分をより一層伸ばすことをサポーしてあげましょう。得意なことがよりうまくできるようになると、自信が湧きます。「グッドライフ・モデル」わるいところに注目するのではなく、強みの方に引っ張っていこうという考え方
▼HSCを育てる13か条
①嫌なことは嫌と言える安心な関係を作り、本音を出させる
②感じ方、考え方、気持ちを尊重し、価値観や期待を押しつけない
③親の不安や恐れを伝染させない
④子供の人格を否定しない、正確を決めつけない
⑤条件を付けて愛さない、褒めない、コントロールしない
⑥他の子や兄弟姉妹と比較しないで、個性を尊重する
⑦敏感さのよいところやメリットを伝える
⑧叱る前にルールを作り、破ったときは理由を聞く
⑨マイナス感情もあっていいし、大切な感情だと教える
⑩過保護、過干渉にならないように気をつける
⑪親と二人だけの関係に依存させないで、いろいろな人と付き合う
⑫子供の問題に困ったときは、自分の育ち方を振り返り、親との関係を見直す
⑬子供に解離症状や感情の抑圧が起きていないか、その目で見る
◇「ほかの人が怒られていると自分も不安になる生徒」の話をよく聞きます。HSCは5人に一人はいるそうです。
▼子供の心の傷 リズ・ブルボー
1 拒絶による傷
2 見捨てによる傷
3 侮辱による傷
4 裏切りによる傷
5 不正による傷
▼私がそれまで漠然と感じていたことが、HSPという新たな概念によってクリアに説明されていたからです。これまでの概念では説明しきれないことも、神経の過敏性が起因していたのだと考えると、腑に落ちることができます。
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