1377 呪いの時代 内田樹
図書館より。新潮社。
後書きによるとこの本のテーマは呪詛と贈与だそうだが、どちらも他人があってこその行為である。他人に対してどう振る舞えばよいのか。英語、婚活、草食男子、原発、さまざまなテーマを分厚く論じる一冊。
#現在の教育現場では「君たちには無限の可能性がある」という激励は許容されても、「身の程を知れ」、「分をわきまえろ」というアナウンスに対してはつよい抵抗を覚悟しなければなりません。
#けれども、子供たちの過度に肥大した自尊感情を下方修正し、適切な自己評価を受け容れさせることは、実際には子供たちの潜在的な才能の開花を支援するのと同じくらいに重要な教育的過大なのです。
#家族というのはまさにメンバー中最も社会能力の低いものが自尊感情を保ち、幸福で文化的な生活を享受できるようにするための支援システムなんですから。
#メキシコはNAFTAでアメリカ産の安いトウモロコシが輸入できるようになったせいで、都市の消費者たちは安いトウモロコシンによって受益したが、トウモロコシ農家は壊滅した。ところが、その後主要輸入国であったアメリカでトウモロコシがバイオ燃料の原料になって市場価格が高騰してしまった。安価な外国製品を専好して国内産業を壊滅するに任せたせいで、主食をアメリカの言い値で買うしかないというところにメキシコは追い詰められたのである。
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