1372 最終講義 内田樹
図書館より。技術評論社生きる技術!叢書。副題、生き延びるための六講。
内田先生の最後の年に行なわれた講演六つを収録する。やはり教育に関する話の力強さがたまらない。
#南方領土問題
#「北方領土を日本に返還しろ」という正論をアメリカがロシアに告げた場合、当然ロシアは「だったらアメリカも沖縄返せよ」と言い出す。
*相対的競争の勝者となって目立つことを求める父親型育児と、群れに紛れてあたりと見分けのつかないものになってほしいという母親型育児、この二つは実は排除し合うものではありません。対になっているんです。その二つの育児戦略の拮抗の中で、子供はいい具合に育つ。
*シラバスというのは本当によくないですね。シラバスを読むと、学生たちがこれから学ぶことについて一望俯瞰できる。その努力がもたらす報酬があらかじめ一覧的に開示されている。それって、商品のスペックでしょう。
*僕はこれを考えついたのは、人間の知性の有り様を全く理解していないビジネスマンだと思います。我々は学校で缶詰を作っているんじゃない。人間の知性というのは、効能がわかったことに対しては発動しないんです。これを勉強すると、こういう「いいこと」があるよと報酬を示されて働くような知性は知性的じゃないんです。人間の知性が活発になるのは、「これを勉強したい」のだけれど、どうして勉強したいか「わからない」というときです。勉強する以外にこの「もどかしさ」を解消する手段がないから、勉強する。それが学びの王道なんです。
*日本人は1945年に本土で戦わずして破れた。…何百万人もの青年が死んだ。その死んだ青年を供養するためには、どこかで、記号的ではあれ、あるいは儀礼的にではあれ、アメリカ相手の「本土決戦」をやらないと、格好がつかないだろう、と。
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