1132 パンの耳の丸かじり 東海林さだお
文春文庫。67番。
#(都こんぶを見て)「ニホンジン、プラスチック、タベル」
#と、バクテリアみたいに思われないだろうか。
#スプーンの先端がスッと入っていって、すくい取ろうとすると、ちょっと引っ張られるような、吸いつかれるような感じがあって、それから、ゴニョッ、というのかな、そんな動きがあってゼリーがすくい取られる。
この感覚の精美たること! とどめに「ゴニョッ」なんて世界初のオノマトペを作ってしまう。
マシュマロの話で、唇や口の中の感覚にうっとりし続け、何の前触れもなく
#口の中には十三個入る。
というオチ。最高。
そして何より解説を読むべきである。
#文章が上手で読みやすい、絵が楽しいのはもちろんですが、東海林さんの発想がすごいですよね。食べ物になりきってその気持ちになっちゃう。蘊蓄や教訓がまったくないところもいい。「わかるわかる。そうなのよーっ」と、いつも読みながらいつの間にか相槌うっています。
家族で浜に牡蠣を食べに行って、娘が「ママのほうがおいしい」というので喜んだら、「焼いたのよりナマのほうがおいしい」というほのぼのエピソードを披露してくれたのは、女優の岡江久美子さんである。全く飾らない気さくな文章である。合掌。
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