シン・エヴァンゲリオン劇場版
本当はアカデミーを受賞した『ノマドランド』を見に行くつもりだった五月のファーストデイ。娘の送迎の都合で『エヴァ』を見ることになった。
エヴァはあまり縁がない。コミックスは始めの方、パイロットの動きをシンクロさせるとか言ってアスカと踊ったところまで読んだ。あとは『残酷な天使のテーゼ』。何度聞いたことか。当時はインターネットの黎明期でアスキーアートやらフラッシュアニメでエヴァを見た。
(まだご覧になっていない方はお戻りください)
(いや本当に、これまでの映画を一本も見ていない人の感想です)
(……)
今までのあらすじがある。これは親切。「あなたはもう何もしないで」「笑えばいいと思うよ」などの聞いたことのある台詞の動くところを初めて見た。
パリでホットスタート。文明が高いのにちんまり座ってラップトップをいじっているところがおかしい。メガネ女子が暴れる。"Many a bird drive away a hawk."なんてそんな文法があるのか(帰宅してから確認)。「合点でい」「にゃ~」と人を食った態度なのがおかしい。
第三村へ。何かあってシンジは心を開かない。アヤナミレイ(黒波というらしい)のそっくりさんは何も知らず「おやすみ」「おはよう」の意味を教えてもらう。果物を拾ってもらって「ありがとう」を実践したり田んぼでひっくり返るお約束を見せたり、「笑うんだねえ」「かわいいねえ」、制服を着せてもらったりで田舎暮らしになじんでいく。これも一つの災害からの復興か。
と思わせておいてウォークマン(DATか)をシンジに届けるとアヤナミ退場。息を呑んだ。
戦艦ヴンダーに乗った面々は南極に出撃するが女性パイロット二人は寄り道をしてシンジの部屋へ。寝っ転がってゆらゆらしているマリの足が気になって物語が頭に入らない。
なんやかんやあってシンジはエヴァ初号機に乗ることを決める。「落とし前」という表現は気に入らないが、この映画はそれぞれのキャラクターを終わらせてあげるお話なのだ。アスカ退場。きっとこの物語でシンジを一番好きなのはアスカ。いつの間にか惣流から式波に変わっているけれど。
ずっとサングラスを掛けていたミサトさんが顔を出し、自分以外のクルーをヴンダーから退去させる。アップにしていた髪を下ろす。これだよ。私にとってのミサトさんはこの姿だ。二十年ぶりの姿に泣く。
ここで『残酷な天使のテーゼ』を宇多田ヒカルさんが歌っていたら号泣していただろうけれどそんな安っぽい演出はしない。
マイナス宇宙とは特撮ヒーローの「亜空間」みたいなものか。ゲンドウはどうして人類補完計画を始めたか、納得の行く説明をしないと彼は終われない。孤独を埋めてくれたのは知識と音楽。ああ心が痛い。ボッチは世界を滅ぼす。巨大な女性は妻のユイでありレイであるのだろうけれど、もう考えるのをやめて感じることにする。
特撮格闘シーン。これは最大限のオマージュ。教室で戦うシーンは笑うところかと思った。たぶんそういうのがあったのであろう。
白い人が落ちていく。これは『えの素』だ。
海のシーン。線画になる。色指定の書かれた原画になる。「よろしくお願いします」なんて社会性の最たるものだ。物語は終わりです。そろそろエンディングで場内の明かりがつきますよ。
「胸の大きいいい女」で締めるのはちょっと恥ずかしいが、監督の奥様への謝意であろう。
いつの間にか現実の宇部の駅の空撮へ。
シンジとマリが駆けていく。『奇面組』で例えると零くんが唯ちゃんでもなく千絵ちゃんでもなく物月朱美とくっつくような違和感。
解説を読んだらもう一回見たい。こちらの「物語三昧」がよさそうです。
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