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フリー・ガイ

 ガイは銀行のテラーで、毎朝起きると上機嫌で金魚に挨拶し、モットーは「いい日でなく素晴らしい日を」のナイスガイ。ただし彼はゲーム「フリー・シティ」の世界のNPC(ノンプレーヤーキャラクター)だった。NPCという表現が耳慣れないようで、字幕ではモブキャラと書かれる。
 倒されても銀行強盗にあっても、毎日同じことを続けてきたが、偶然出会ったヒロイン、モロトフガールに一目惚れをして自分もサングラス族という上流階級になることを決意する。
 NPCが自分の意志を持って動き出したので「ブルー・シャツ・ガイ」という有名人になってしまう。ゲームの世界とプレーヤーの世界を行き来しながらガイはフリー・シティを出ることを決意する。

 ゲームの世界なのでファーストエイドに接触することで回復したり、武器を頭から吸い込んで装備したり、やりたい放題。カースタントも爆発も派手派手。マッチョマンとの対決では武器はあれであれのテーマが流れてきて、私は自分の腹筋が痙攣するのを感じた。おかしくてお腹がひくひくすることって本当にあるんだ。

 愉快なのはワンマン社長アントワン役のタイカ・ワイティティ。天才プログラマのメガネくんからソフトを奪ったわるい奴なのだが、おしゃれで即断即決、ひょうきんで憎めない。
 アメリカらしい何も考えないで楽しめるコメディ映画だ。

おすすめマークほい! ★★★

 メガネくんと、モロトフガールの現実であるミリーはプログラムを盗まれたことを実証しようと躍起になるが、その証拠を挙げられない。メガネが“裏マップ「楽園の島」を隠してあるんだ”くらいのことを伏線として言っておけば、ガイが別の島に跳んだときに感動するのに。

 エンディング前、メガネの気持ちに気づいていなかった唐変木ミリーがそれに気づいたとき、ピンクうさぎ男が“Finally”と呆れる。finallyを辞書で引くと「ついに、やっと」「最後に」という意味が出てくるだろうが、「ようやく、やっと」の意味もあるのだ。字幕では「遅せーよ」となっていた。「やっと気付いたのかよ!」くらいの気持ちだ。なんて格好いい“finally”。

 最後に「ゲーム用語監修 ファミ通」と字幕が出る。前出の、NPCを「モブキャラ」と、アカウントbanを「出禁」にしたくらいしか見つけられなかった。

 見てからネットで感想を見ると、これはエッセンシャルワーカーへの讃歌だと言う。コロナ禍で「リモートワーク」だ「テレビ会議」で「おうち時間」だ、なんてのんきなことを言う人もいるが、接客や福祉、医療、公共サービスなど休めない人はたくさんいるのだ。そういう深刻なテーマには★四つをあげてもいいと思う。もっというといろいろな映画のオマージュがあるそうで詳しい人はもっと楽しめるのだろう。

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