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1298 学校司書という仕事 高橋恵美子

 図書館より。青弓社。

 図書館の先生の身分は不安定であった。初めは「学校図書館の仕事を主として行っている事務職員」でしかなかった。その後「学校司書」と呼ばれるようになったが法的に定められたのはようやく2014年のことである。それでも正規の職員ではなく、臨時職員であることが多い。それでは(勤務時間が15時までなど)放課後までいられない。また数年しか働けないのであれば、専門性は高められない。
 立場が弱いだけに、周りの職員、特に管理職の理解が得られないとほぞをかむしかない。著者は駆け出しのころ高校生にレファレンスサービスをしていたら、校長と教頭に「教育職ではないからそれはできない」と言われた。何のためのライブラリアンか。(注:校長と教頭は間違っているよね)
 子供の役に立ちたいのに、読書のすばらしさを伝えたいのに、制度の不備と周りの無理解に耐え奮闘する全国の学校司書の姿を描いた熱い一冊。

#残念なことに大阪府立高校では、学校図書館の仕事だけを専任でおこなう学校司書(実習助手)が、2009年に当時の橋下徹府知事の行政改革によっていなくなってしまいました。

 なんということでしょう!!

#つまり、貸出の多さより、もっと大切なモノがあるはずだ。量より質、という思い。このことをはっきりさせないと、貸出を伸ばす、というテーマは前へと進まないと思う。それも私は、貸出を伸ばすことは最も重要だと思っていて、その根拠を明確にすることが、これはとても難しいことだけれど、何度でもくり返し研究すべきだと思うのです。さて、この「もっと大切なモノ」は、やっかいなことに実は貸出が伸びてきて、初めて見えてくるんですね。
 岐阜県の小池静子さんの学校(高校)は、一日の入館者500から600人、貸出120から130冊、生徒の年間一人あたりの貸出冊数は24.7冊。昼休みは小池さんとお話がしたいと列ができた。

#コミックスに市民権を与え、一般の本と同じ扱いをする、それは図書館の側がマンガを大事に考えていると伝えることでした。ときには生徒に対して「コミックコーナーを生かすも殺すもあなたたち次第」と訴え、先生からの苦情にはひたすらお詫びして頭を下げます。マンガの場合、無断持ち出しもあれば、紛失も起きます。放課後の教室を回って、無断持ち出しや置きっぱなしになっているマンガを回収することもします。
 同じく小池さんの実践。

*男子数人が本を探してさまよっている。聞いても「探してない」と白を切る。そういうときはたいてい『マンガでわかる肉体改造 美肌・スキンケア編』か『マンガでわかるオトコの子の「性」』。

#パラパラブックス

#図書館担当者はそれぞれの特性を生かし、連携して活動することが大切です。本校では、学校司書も「学習に役立つ本」リスト作成のため、全学年の国語語、社会科、理科、生活科の教科書に目を通しており、学習の流れの概要について熟知しています。

#学校司書に必要な脂質は
*1 コミュニケーション力
*2 一人で仕事ができること
*3 失敗できる力
*4 好奇心旺盛であること
*5 本を知っていること、資料の調べ方を知っていること
 ここから持論を畳み掛ける。
#これが順番から言って5番目、と思うかもしれません。これには、私が知っているうまくいかなかった司書の例が反映しています。本を知っている、資料の調べ方を知っていることについては大変優秀かもしれないけれど、1番目から4番目の力がないために、学校図書館ではうまくいかなかった、仕事を続けていけなかったということがあるからです。

#せめて5年以上1つの学校に根をはやして仕事に取り組んでいかなければと私は思う。家庭の主婦の機会均等のためのとか、臨時職員の長期雇用は不可とかが行政側の理由なのだが、司書の専門性が理解されていない。

 教育行政はそういうことをするのだ。「雇用調整」とか言ってホームページ担当や図書館担当を一年という短い期間で雇う。いろんな人の生活を安んじることはできるが、司書の専門性は断ち切られる。

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