1306 西の魔女が死んだ 梨木香歩
図書館より。小学館。
不登校をきっかけにおばあちゃんと二人暮らしをすることになった中学生の女の子が、素朴な生活の中から生きる意味と死ぬ意味と、自分の心について自問自答する物語。草木に水をやり、かまどで火を焚く、木苺のジャムを作るというイングリッシュガーデンの伝統を守るおばあちゃん。おばあちゃんは「すべきことがわかっている」と少女「まい」は感心し、魔女として弟子入することになる。でもほうきで空を飛ぶわけではない。「自分のことは自分で決める」という精神修養。
#クラスの最初にバタバタッて幾つかのグループができるんだ。そして休み時間に一緒にトイレに行ったり、好きなスターの話とかするんだけどさ
#大変ですね
#その波に乗ったらそんなに大変じゃないんだよ。最初気の合いそうな友達のグループに入るまでがすごく気を使うけれど、去年まではわたし、すごくうまくやれたのよね。でも、何だか今年は、そういうのが嫌になったんだ
#グループに入るのがですか?
#うん。グループにできるときの心理的な駆け引きみたいなのがね。グループになりたいなって思う子の視線を捉えてにっこりするとか、興味もない話題に一生懸命相づちを打つとか、行きたくもないトイレについて行くとか、そういうのが、何となくあさましく卑しく思えてきたんだ
長い引用になったが、それだけの価値はある。
不愉快な男性老人ゲンジさんが勝手に竹の子を掘っていたので帰っておばあちゃんに報告した。第一印象から最悪だったので「死んでしまったらいいのに」と言い放った。おばあちゃんは頬を平手打ちした。その後おばあちゃんはスープを温め、トーストを焼いた。
#まいは、こんなことにはだまされないぞ、というかたくなな思いと、また前のような暖かな生活を続けたいという思いが交錯してどうしていいのかわからなかった。
鮮やかな心理描写。こういうのがたくさんある。
#ああ、おばあちゃんは、おばあちゃんは、おばあちゃんは、覚えていたのだ。
この三度の繰り返しに、全国の少女がここで泣いた、と思う。まいといっしょに。
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