1373 村上春樹は、むずかしい 加藤典洋
図書館より。岩波新書。
村上春樹は文壇とは距離を置いていることは有名であるが、批評家の中で唯一と言っていいほど村上のデビューから熱く支持しているのがこの著者だと言っても過言ではないであろう。
様々な発見を得られる本であるが、最大のポイントはこれだ。
日本文学はこれまでの「否定」をテーマにしてきた。村上ワールドは「否定性」を否定し、「肯定性」を明るく肯定しているのだ。
その象徴的な台詞は、「気分がよくって何が悪い?」だ。
#サザンオールスターズの桑田佳祐が証明したのは簡単にいえば「否定性」などなくてもよい音楽は作れるということだ。桑田は「たぶん気付いていないかも知れない」がサザンは、そのことをはじめて証しだてた。その点で彼らは「すごいバンド」なのだ。
村上龍。
*彼は、恋人の「すみれ」(花)を失うが子供ほどの年齢の「にんじん」(根)に助けられるのである。
『アンダーグラウンド』で多数の市井の人々を取材した経験は、登場人物のレパートリーを広げた。
#彼らはすべてこの『アンダーグラウンド』を契機に、村上の小説世界のなかに参入することになった、それまでけっして村上の小説で主要な役割をふられることのなかった新顔たちである。
新顔とは、『かえるくん』の片桐、『カフカ』の星野青年、『1Q84』の牛河たちである。
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