1368 村上春樹の秘密 柘植光彦
図書館より。アスキー新書。副題、ゼロからわかる作品と人生。
副題のとおり、作品論と作家像をバランスよく織り交ぜ、多少のオヤジギャグを入れた佳品。
村上作品に共通することは何なのか、複数の作品を串刺しする視点が知的好奇心をかきたてる。
#「ピーター」は三鷹時代に、春樹が夏休み等に帰省して留守のときには、アパートの外で鳥やモグラの子供をとって食べたり、どこかの家の台所から食べ物をかっぱらったりしながら「自活」して、春樹が戻るとまた飼い猫になるという「野良猫体験」のある自立した猫だった。
#しかし文京区では、この体験が裏目に出た。
#「ピーターは最後まで都会生活になじむことができなかった。いちばん困ったのはあたりの商店からのべつまくなしモノをかっぱらってくることだった」
ピーターは病気になって知り合いに預けられ、そのままいなくなってしまった。
#「団塊の世代」の多くは一九四八年ネズミ年生まれなので、「鼠」という名前は「団塊の世代」を代表している。
#春樹は『蜂蜜パイ」という短編小説で、こうした三角関係を上手に解決している。
「こうした」とは「夏目漱石風の」なのか「個人的出来事と明治の精神をこじつけた」という意味なのかは判然としない。
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