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マークスマン

This is my choice.

 ツイッターにこう書きました。
#マークスマン どうしても #モンタナの目撃者 と比べてしまうが、アンジーは強い女。リーアムは妻は*くすし思い出の家は*かれるし、犬を*されて取り乱す弱い男(謝るのは偉い)。ボロボロ男が最後にゴルゴするのが格好いい。後味の素晴らしい引き算の映画です。

 主人公ジム(リーアム・ニーソン)は海兵隊上がりの爺さん。妻を亡くして家も取り上げられそう。職場でも力仕事は無理だと言われ、八方塞がりでバーで飲んだくれる。
 メキシコではカルテルにちょっかいを掛けたせいで子供のおじさんが吊るし首になる。お母さん(テレサ・ルイス)は子供(ジェイコブ・ペレス)を連れて脱出する。
 爺さんはメキシコ母子に出会い、カルテルの追跡を逃れて子供の親戚のいるシカゴまで逃避行に出発する。

 私は『モンタナの目撃者』を見て半年経っていないので、比較ばかりしてしまう。主人公は心に傷を追ったベテラン。親は命をかけて息子を逃がす。主人公は偶然の出来事に驚くが、行きがかり上子供を守ることにする。まるで同じ。違うのは、アンジーには味方がいたが、リーアムは孤独であること(国境警備隊の娘=キャサリン・ウィニック=は心配するだけ)。ただし彼には狙撃の腕がある。メキシコマフィア(フアン・パブロ・ラバ)は非道の振る舞いを続けるだけに、終盤ジムの狙撃が百発百中で(そんなに撃たないが)爽快だ。

 派手なアクション映画というよりは、アクションもあるが、爺さんと子供がお互いを徐々に理解していくロードムービーであり、ベトナムで国に裏切られた男が最後に花火のように輝く哀愁のドラマであろう。風景も一つ一つ美しいのだ。

 ガソリンスタンドの女性が気になる。調べるとアンバー・ミッドサンダーという役者さんだ。同じくリーアム・ニーソンの出る『アイス・ロード』でもいい役をもらったらしい。ネイティブアメリカンのスー族の末裔である美人さんだ。

おすすめマークほい! ★★★★

 ちょっと甘い採点かもしれないが、ラストの余韻が心に残るから。

 映画や漫画には映像があるから、すべて台詞で説明するのでなく、演技や演出で何かを伝えるのがいい映画だと思う。
 そういう意味で悪役のマウリシオがジムの家を荒らすときに、勲章を見つけ、ポケットに入れる場面がある。
 これはなんだろう。見ているときはわからなかったが、マウリシオの最期のシーンで、自分は恵まれない生活でカルテルに育てられた、と運命を呪う場面がある。だからジムが栄誉を受けたのを知ったとき、うらやましかったのだろう。悪人のくせに自分は道に外れたことをしているという自覚があったからこそ、勲章をジムに返し、拳銃を手にとった、と思う。

 ラストも血まみれの腹部を映し、事切れたことを観客に伝える。

 ミゲル少年が地図のシカゴにペンで印を付ける。希望の印だ。ところが座席から落ちた地図はマフィアに拾われて、目的地がばれてしまう。この絶望感。落差が素晴らしい。

 泣かせるのは愛犬ジャクソン。一度悪漢たちと戦っているから、モーテルで夜に出会ったとき勇敢にもかかっていったのである。序盤にジムがジャクソンを「賢い最高の犬だ」と最高に可愛がっているからこそ犬が撃たれるシーンは辛い。

 映画であっても銃で撃たれるシーンは見たくないものだ。この映画では、マフィア以外が撃たれるときは、画面が切り替わる。ノワール物ではない、そこを見せたいわけではない、という優しい演出だ。

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