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ドライブ・マイ・カー

 娘のポーシャを学校に送って8時半開始。時刻はばっちりだ。問題は時間。上映時間3時間。これは長期戦だとキャラメルポップコーンを購入。

 ツイッター。
ハルキの世界観を保っていてグッド。若い人物も「マジ」「ヤベー」とか言わない。クラシックのレコードをかけながらの行為に疑問を持たない自分に苦笑い。薄々わかっていたけれど、村上文学を映像化するとポルノになりますね。

 主人公(家福:西島秀俊)はベテラン役者で演出もする。妻(音:霧島れいか)も同業だが夫の留守に若い男を家に連れ込む。たまたま早く帰宅した夫は不倫現場を見てもそのままドアを閉じてしまう。現場ではクラシックが流れている。「クラシック+不倫」に慣れて違和感を感じない自分は村上春樹ファンだなあと苦笑い。
 広島の演劇に招かれた家福は無理やり運転手を付けられる。寡黙な若い女(みさき:三浦透子)。その演劇には韓国人も、聾唖者も、妻と不倫していた若い男(高槻:岡田将生)もいて、芝居の稽古は難航する。

 最初の一時間は音のターン。霧島れいかは服を着ている時間より裸の時間のほうが長い。それでも胸は見せないのが決まりなのか。
 家福は運転中妻の録音してくれたお芝居練習テープ(本当にカセットテープ)を流すが、これが家福の心を代弁/逆転させている。言いたくないことを言ったり、我慢していたことを言ったり。『ワーニャ伯父さん』からよく選んでいる。
 高槻はやりたい放題。見ていて不快になるので監督の狙い通りである。

 上映時間は長いが霧島れいかのホットスタートと、見せるところはじっくり見せ(立体駐車場をじっくり見せたのはなぜ?)、省略できるところはばっさり切った演出の巧さで時間を感じさせない。繰り返すが「ハルキワールド」の独特な味わいを映画でも再現したことにこの映画の価値はある。

 最後のオールスターの演技は素晴らしいと思うが、ほかの作品をまるまる使って終わるのは、ちょっと逃げたように感じる。

おすすめマークほい! ★★★★

 うならされる演出がいくつもある。

 嫌なことがあった家福が後ろでなく助手席に乗り、タバコを吸い、二人でタバコをサンルーフから突き出すシーン。これは絵になる。そして終盤のタバコ線香につながる。

 すばらしい演出がいくつかある。
 ユンの家で四人で食事をするシーン。みさきの運転を家福がほめる。みさきが画面から外れて、頭しか映らない。まるで放送事故だ。みさきは犬をかまっていた。当初は信頼していなかった家福に認められてうれしかったのである。その表情は見せない。

 家福と音のシーン。家福は目を腕で隠している。これが終末の「正しく傷つくべきだったんだ」につながる。

 北海道の雪の中を走る。BGMが止まり無音になる。クルマはバックする。画面が切り替わり、「やさい 花」ののぼりを後にクルマは遠ざかる。無音=何かあった、花ののぼり=お供え花を買った、と監督が「わかりますよね?」と観客にサインを出している。

 クライマックス、ワーニャの母親(?)の「博士の言う通りにな!さ!い!」の演技よ。

 家福は「音」という名の妻を失ったが、聾唖者(ソーニャ役のユナ)は「“音”がなくても、生きていきましょう」と手話で語る。これは深い。

 エンディング。みさきは韓国を走っている。クルマはサーブ。家福からもらったのであろう。隣には犬が乗っている。ユンからもらったのか、ユンの元で仕事をしているのか。ここで「DRIVE MY CAR」の二度目のアバンタイトル。そうだ、「ヒズ・カー」を運転していたみさきは「マイ・カー」を運転できるようになったのだ。だからマスクを外したほっぺにはスカーはない。
 どっちなの? と説明しないで想像に任せるのも村上春樹である。

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