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1412 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹

 図書館より。文藝春秋。副題、村上春樹インタビュー集1997-2009。

*(スプートニクの三人のキャラクター設定はあらかじめ)決まってます。そして、比喩を徹底的に多くしようというのも決まっていた。その上で、文体の隙をなくし、よじれをなくし、たるみをなくす。つまり、文体のフィットネスですね。

#天才的な作家っていますね。何も考えないでもどんどん着想が湧いてきて、すらすら書けちゃう人。
#でも、僕はそういうタイプではなくて、自然には湧いてこないから、自分でシャベルを使って井戸を掘りながら書く。
 「井戸」は村上本人が掘っているのだ。

#そして書き直すたびに、僕自信の中でも謎の幅は少しずつ狭まっていくんです。焦点が絞られてくる。でも、あるところまで行くと、これ以上は絞れないというポイントがあるんです。
 ハルキワールドははっきりプロットの種明かしをしない。

*(バブル経済で)僕らは豊かになったんです。ただし、いまだに幸福を見つけられずにいた。僕らはどこかで自分を見失ってしまったと感じており、自分たちの価値や特性をふたたび問い直さなければなりませんでした。

*これらの作品(羊、世界の終わり、ねじまき鳥)すべてが、奇妙な状況をくぐりぬけながら、冒険の途中で変化が起こり、欲していたものを見つけることで終わります。しかしその間に、探していたものが意味を失ってしまい、目的に到達することがたいして重要ではなくなってしまう。
#主人公は、初めとは別人になっています。

#小説を書くことの利点は、目覚めながら夢を見られるということにあります。

#せっかくこうして作家になれたんだもの、何かを書くのなら、とにかく少しでも良いものにしていきたい。
 レイモンド・カーヴァーの心情を想像して。

#柴田さんはバランスのとれた小説が好みだと思う。うまく言えないけど。彼の翻訳を読むと、すごくバランスのいい文学世界が見えるんです。シンメトリカルというか、オースターがいい例ですね。バッハの音楽に似ています。どこか数学的で。

#小説を書くのって、逆説的な言い方になるんだけど、書かない時期が大事なんですよね。

*僕はそれまで、個人として自立することを一つの目的として生きてきた。日本にいるときは、それが僕にとって大事な意味を持つ作業だった。アメリカやヨーロッパでは、人が個人として自立するというのは、いわば自明のことです。するとそこで、「じゃあその個人として、自分はいったい何をすればいいのか」ということが新たな命題として浮かび上がってくるわけです。

#今日、世界はひどく混沌としています。人はすごくいろんなことを考えなくちゃいけません。(略)でも、小さな、閉じた世界に入れば、何も考えなくて済みます。導師(グル)や独裁者が、何をしたらいいか、何を考えたらいいか、教えてくれるんです。すごく簡単で、楽で、誘惑的です。オウム真理教に入った人たちのように、知的な人たちにとっても。でもそれは罠です。いったん閉じた世界に入ったら、逃げられません。ドアは閉じてしまうんです。

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