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1438 白銀騎士団 田中芳樹

 図書館より。光文社。

 奥付を見ると2022年3月30日初版1刷発行ということで、田中先生の本が読めるのはうれしい限り。
 内容は大英帝国のうんちくと有色人種への差別の流しっぱなし。ストーリーは後から付けたよう。謎を設定したいようだが、悪のボスはそんなまどろっこしいことをするかなあ、とプロットの必然性が感じられない。インド人と中国人の性格の書き分けもない。メイドのアニーはアイルランド独立を謳う一面しかない。
 作者のせいではないが表紙以外イラストが一枚もないのは怠慢である。アニーがもったいない。

 でもやっぱりうんちくは楽しい。「デイリー・エクスプレス」や「デイリー・メール」、「デイリー・ミラー」と「ザ・タイムズ」の対比はわかりやすい。
 差別と優生思想と階級社会については、「差別のない世の中を」という呼びかけに取れなくもない。

 主人公サー・ジョセフ・アーネスト・フィッツシモンズの爵位は準男爵(バロネット)。
#「わが家は三〇〇年もつづく家系なんだぞ」
#「三〇〇年間、昇格しなかったんですねえ」
 従者のこの発言を許す鷹揚さがジョセフの魅力であろう。

*「(中国は)インドと同様、大英帝国の完全なる支配地となるだろう。そのほうが、お前のためでもある。まともな政治がおこなわれるからな」
#「まともな政治は私どもの望むところでもございます」
 この李の大人の切り返しは見習いたい。

#一九〇三年にアメリカではライト兄弟が飛行機を発明したが、ヨーロッパではじめてそれが見られたのは、一九〇六年になってからのことだ。ただ、一九〇五年に中央ヨーロッパの小国で、ライト兄弟と無縁に飛行機が製作された、という説があるが、公式には確認されていない。
 地の文でしらっと語られているが、『アップフェルラント物語』のことである。

#「ブランデーをたっぷり」
 そういえばヴァレリー・リン・フィッツシモンズは遥か未来の子孫としては登場しない。

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