1447 手塚治虫からの伝言 人間というもの 手塚治虫
図書館より。童心社。監修・中野晴行。
「ACT.16(ミッドナイト)」「べんけいと牛若」「八角形の館」「上と下(ブラック・ジャック)」「安達が原」「奇動館」の六編を収める。
このシリーズの最高傑作ではないか。ライバルだった花火師の切りつけ合うような再会を描くミッドナイト。べんけいは体は大きいが少女趣味を最後まで譲らない。医者ではなく漫画家をまっとうするという決意の八角形の館。ブラック・ジャックが粋な計らいをする上と下。そしてこの本の最高傑作、安達が原。能をヒントに宇宙SF漫画を描く人がいるだろうか。最後に奇動館を持ってきたのも最高だ。今でいうフリースクール。時代的に『陽だまりの樹』を思い起こさせる。
「上と下」の解説がいい。
*手塚治虫はよく似た経験をしているのです。経営していたアニメ会社が倒産して、借金を返すために自宅まで失い、それでも足りずに銀行などから返済を迫られていた手塚に、救いの手をさしのべた人がいたのです。大阪に本社があるベビーカーのメーカー「アップリカ葛西」の創業者、葛西健蔵という人です。葛西は会社を作ったばかりのころ、手塚のキャラクター『鉄腕アトム』を乳母車などに使い、それが会社を大きくするきっかけになったのです。手塚を助けたのはその恩返しのつもりでした。葛西は手塚のキャラクターの権利が債権者にとられないように法的な手段をとり、資金も出しました。
我が家にも高校生になった娘のベビーカーがまだ置いてある。アップリカの製品だ。軽量で折りたたみが簡単なのが特徴だったと思う。
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