1454 経済参謀 大前研一
図書館より。小学館。副題、日本人の給料を上げる最後の処方箋。
日本の没落を食い止めるために、三つのテーマについて論じる。「少子化対策」「教育改革」「新・地域国家論」である。
まず少子化対策。フランスやハンガリーは家庭の人数が多くなれば税金が安くなる。スウェーデンは婚外子でも嫡子と同じ扱いになる。そのためには家庭を核とする戸籍制度は邪魔になる。ドイツは移民を受け入れ、ドイツ人と同じ教育を与えることに力を入れた。
教育改革。「推薦入試は止めよ」など明快なものもある。「答えのない問題に取り組む教育」「林修氏など日本で一番うまい先生の授業をオンラインで聞く」「家庭に50万円のクーポンを配って公立・私立を選ばせよ」などこれについては留保。
地域国家論。著者は以前から道州制を主張していた。それは変わらない。ただ世界にはメガリージョンというやや大きめの経済地域が繁栄している。シリコンバレーであり、中国大湾区(深セン・広州・香港・マカオを含む地域)である。日本では東京を中心に横浜、幕張を含むベイエリアが有力である。また新潟や九州にも可能性を見出している。
#賃上げをするためには“理屈”が必要であり、それは「生産性が上がった」ということだ。逆に言えば、日本企業の賃金が上がらないのは生産性が上がらないからで、生産性が上がらないのに賃金を上げたら、企業は潰れてしまう。そんな基本的なこともわからずに政府が賃上げを共用し、賃上げをしたかどうかによって法人税の税額控除率を決めるというのは、経営判断を愚弄するものであり、「新しい資本主義」どころか、資本主義に対する冒涜にほかならない。
#総務省の役人はいつも、スマホやパソコン、タブレットの活用を前提としたシステムの導入を提案すると、「お年寄りが対応できない」「スマホを持っていない人から苦情がくる」と言って反対する。しかし、それは発想が逆だ。お年寄りでも難なく使え、万人が利用可能なシステムを作ればよいのである。
マイナンバーシステムについては「作り直せ」と主張している。たしかにマイナンバーアプリは使いにくい。二つのアプリの連携が下手で、行ったり来たりしなければならないところが駄目だ。
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