1480 音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 川原繁人
図書館より。朝日出版社。副題、プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで。
七歳と三歳の娘と、音声学者夫婦の音声学的観察日記。子供の言い間違いには理由がある。著者はポケモンやメイド喫茶の店員の名前を分析したことで有名になったようである。
調音点の説明がわかりやすい。前から両唇、歯茎(しけい)、歯茎硬口蓋、硬口蓋、軟口蓋、声門の6種類。p/bが両唇音、f/vが唇歯音、thが歯音、s,tが歯茎音、shが歯茎硬口蓋音、[ヒ]が硬口蓋音、k,gが軟口蓋音、hが声門音。
。
調音法は破裂音、摩擦音、鼻音、はじき音(r)、接近音(w)の四つ。
*舌の上に(チョコの部分は食べた)ポッキーを完全にのせてしまって、上顎で固定したりせず、舌が動くままにポッキーを動かしてほしい。まず、ポッキーを舌の上にのせて「あ」「い」「あ」「い」「あ」「い」と繰り返して、ポッキーがどのように動くか観察してみよう。「あ」で下がり、「い」で上がるのがわかるだろうか?
#ちなみに「痛い[itai]」を「いてー[itee]」と発音する人がいるが、これは「あ」と「い」が融合すると、その中間にある「え」になるからだ。
#大人は液体を飲みながら同時に呼吸はできないが、赤ちゃんはできる。母乳やミルクを飲むときに窒息しては困るからであろう。
#以下の例ではなぜか連濁が起こりません。
#*たから+くじ まち+かど きつね+そば おお+とかげ
#2番目の単語がすでに濁音を含んでいる場合は連濁は起こりません。日本語はどうやら濁音をふたつ含んだ単語が嫌いなようです。この法則は「ライマンの法則」と呼ばれています。ライマンは明治時代にお雇い外国人として招かれた鉱山学者なのですが、日本語にも興味を持ちこの法則について発表したことが由来です。
*motherese; 今ではchild-directed speechと呼ばれている。少し味気ない呼び方になってしまった気もする。
#阻害音=破裂音+摩擦音+破擦音
#共鳴音=鼻音+はじき音+接近音
#アイドルの可愛いニックネーム、鍵は「共鳴音の繰り返し」だ。
「ぱるる」、「みゆみゆ」、「ララ」とか「ゆうゆ」かな。破擦音は[ts]。
『ビジュアル音声学』の著者だとは気が付かなかった。
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