1490 53歳の新人 内多勝康
図書館より。新潮社。副題、NHKアナウンサーだった僕の転職。
東大を出てテレビ局のディレクターになりたかったけれどアナウンサーになり、「NHKの顔」とまで呼ばれた男が職を捨て、医療的ケア児を受け入れる施設のマネージャーになった。
著者はやりたいことをやりたいのだ。自分の思いを世間に発信することに生きがいを感じる。障害者福祉は大きなテーマ。逆に世界のニュースを知らせるラジオ番組は楽しくもなんともない。「おしゃべりができれば幸せ」というタイプではない。
話が面白くてぐいぐい読ませる。香川でお祭りの司会。大阪でバラエティ番組。阪神淡路大震災の混乱。名古屋で北アルプスの縦走。NHKは無茶をやらせる。福祉施設「もみじの家」ではエクセルも使えず、医療の話がわからず会議で寝てしまう。医療的ケア児の団体を作り、法律と行政を動かす。
#アナウンサーでもどんどん取材してどんどん提案をしろと言ってくれるNHKの文化は大歓迎。時々、担当する放送がなくて自由に動ける日があると、先輩が「外に行って誰かに会ってこい」って背中を押してくれるのは、ありがたい日常でした。
#正直なところ、昔も今も料理はしませんし、もちろん希望を出したわけでもありません。最初は「なんで僕なの?」と正直ガッカリしましたし、料理番組ですから、僕がテーマとしている障害福祉の番組提案はどう頑張っても不可能です。
「きょうの料理」は嫌々やっていた。
#「大事な話がある」と前置きをすると、最悪の想像をして身構えるもの。そこへ「実は前向きな話でした」というオチをつけると、なんだ、そんなことか……という安心感が生まれ、すんなり受け入れてもらいやすくなる、という法則です。
#最初に小石をポンっと投げ入れるくらいの役割でいい。小石自身には存在感がなくても、波紋を広げることはできます。波紋が広がった先に、社会がよくなっていくきっかけが生まれたら、もう言うことはありません。
#NHK時代から引き続き、「誰のために仕事をするか」――この軸はずっと変わりません。
#大人とは、子どもを守る存在である
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