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1489 ジュゴンの上手なつかまえ方 市川光太郎

 図書館より。岩波科学ライブラリー。副題、海の歌姫を追いかけて。

 海洋生物のバイオロギングに魅せられて世界のジュゴンを追う鳴き声研究家の、破天荒な研究生活。ジュゴンそのものについての説明は、論文に書くためにここでは控えめである。それよりオーストラリアの女性研究家たちとのダイナミックなジュゴンのつかまえ方「ロデオ法」の描写や、アフリカでのワイルドな生活、紅海大学の男たちとの冒険などが楽しい。沖縄の漁師とも交流する。なんというか肝の座った男という人物像が見える。

#海中に生える種子植物を総称して「海草」という。藻類の海藻と区別するために「うみくさ」と読む。

*リズのウンチの集め方が面白いので紹介したい。ジュゴンの排泄孔にホースを数センチ挿し入れて、もう一方の端に口をつけてウンチを吸い出すのだ。リズはこれを水中で泳ぎながら行う。たまに勢いあまって口にウンチが入ってしまうらしい。自分のことを「プーガール」と言って快活に笑うリズには、しばらくかないそうにない。
 リズはオーストラリアの学生。

*宿舎から五〇メートルほど離れた場所に、穴を彫り、ドラム缶を入れ、その上に平板を渡して足場としたものがある。そこがトイレであった。夜にトイレをのぞき込むとヘッドライトの明かりの中で大小さまざまな虫たちがうごめいていたものだ。
#スーダンの水は硬度が高いので石鹸がなかなか泡立たず、水浴びや洗濯をしてもすごくくさいものが少しくさくなるだけだ。
#タフな人類学者たちは現地の人と同じ生活をすることで彼らの信頼を得て、生活をより深く知ろうとする。しかし私は軟弱な生態学者であり、フィールドで体調を崩している暇はないので、飲み水はすべて都市部で購入したペットボトル入りのものを利用した。それでも硬度の高い水を飲み続けていると、たいてい一週間後に盛大な下痢に苦しめられたものだ。
*宿舎には冷蔵の保存庫がないため、肉類を食べられたのは買い出しの日とその翌日くらいであった。通常は豆を煮たものを荒くつぶして、食用油と塩で味をつけたフールという料理を食べる。このフールに、別皿で出されるライムやタマネギのスライス、ゆで卵などを混ぜ込んで、エイシュ(主食のパン)といっしょに食べるととてもおいしかった。

 研究のメインは鳴き声。「ピヨピヨ」と鳴くのがチャープ。「ピーヨ」と鳴くのがトリル。チャープで相手の注意を引き付けて、トリルで内容を伝える。チャープを聞いた方は発信者の場所がわかるという効果もある。

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