1497 読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門 河野俊寛+平林ルミ
図書館より。読書工房。一人目の著者のお名前は「しゅんかん」でなくて「としひろ」と読む。
「入門」なんて軽い書名だが、そんなことはない。最新の学説とICT機器の活用を網羅した、決定版である。
まず状態を把握する。「読み」と「書き」に分けてそれぞれで「正確さ」と「流暢さ」を測定する。そして視覚認知に問題があるのか、音韻意識に問題があるのか切り分ける。
小学校の先生が「さかさことば」(たとえば自分の名前をひっくり返して言う)を扱うのはこういう理由があるのかもしれない(音韻意識の問題)。
スナックラジオという番組で川村那月さんが「『川村なお』が本名なんだけれど、逆さまに言うと『おならむわか』になるのが嫌だった。なんで先生はそんなことを言わせるんだろうね」と言っていた。その理由がわかった。
*言葉を話したり聞いて理解したりすることは、学習しなくても、乳幼児期にまわりで使われている言語で自然にできるようになります。しかし、文字の読み書きは、学習しないとできるようにはなりません。
この言葉の偉大さよ。LSとRWの壁……!
#大脳には、言語を話したり聞いて理解したりする専門領域(ウェルニッケ野とブローカ野)がありますが、文字を読むための専門領域はありません。文字を読むためには、視覚野や、聴覚と体性感覚という3つの領域を統合する領域(39野と40野)や、言語野を総動員しなければいけないのです。
*サッケード; 跳躍運動。視野が文章中の一点に立ち止まり、次の点に素早く動く瞬間的な動き。サッケード中は文字情報は入ってこない。
*停留; 視野が文章の一点に止まっていること。読み書き障害の人の場合、停留が多く、停留時間も長い。
#音韻意識改善の支援方法としては、しりとり、音韻削除、音韻合成などがあります。
キーラ・ナイトレイも読み書き障害。きれいな女優さんで一時期キーラが出るビデオを選んで借りていた。
英語のJ→E課題がおもしろい。同じ単語群で、二枚のテストを作る。一枚は「猫」を「cat」にする問題。もう一枚は「猫」を「キャット」とカタカナで書く問題。これで「音としては覚えているのかどうか」判定する。
2021年5月、障害者差別解消法が改正され、合理的配慮の提供がこれまで努力義務とされていた民間機関も法的義務とすることが決定されました。この改正法は、交付日である2021年5月4日から起算して、3年以内に施行されます。
#以前はよく学校側から「先例(前例)がないので、対応できません」という言葉が聞かれましたが、先例は対話を通じてつくるものです。
#合理的配慮をしてもらうのに診断書は不要
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