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1500 ヒトデとクモヒトデ 藤田敏彦

 図書館より。岩波科学ライブリー生きもの。副題、謎の☆型動物。

 『フジツボ』『サボり上手な動物たち』など本シリーズの海の生き物を扱った本は傑作が多い。章の題名も「海の☆の正体」、小見出しも「☆のお土産」など可愛らしい(きっと編集の仕事)。
 しかし本文は専門的だ。文章も読みやすくはない。なぜか写真や図がテキストの次のページにあることが多い。振り仮名も少ない。「叉棘」は振り仮名がどこにもないと思う。「さきょく」としか読めないが。ラテン語の学名が多いのも読めないので頭に入りにくい一因であろう。

 内容はおもしろい。ヒトデは二枚貝を挟んで吸盤で開けること。わずかな隙間があれば消化液を出して貝を弱らせること。ウミユリ、ヒトデ、クモヒトデ、ウニ、ナマコは五放射相称という共通の構造をした仲間であること。オニヒトデはサンゴを喰らい、強い毒を持つこと。
 子育てをするヒトデがいること。背中に乗せる。胃の中で育てる。体の中心(盤という)を持ち上げ、その下でかくまう(ヒメヒトデ)。

#広島大学の練習船「豊潮丸」で筆者が見つけた種には、「トヨシオマリヒトデ」と名付けた。
 あっさり新種を発見している。

 なぜほかの生き物の手足に見られる偶数でなくて奇数の腕を持つのか、の考察がおもしろい。水の流れに乗ってくる餌を食べるやり方を受動的懸濁物食という。これが偶数だと、一つの腕が上流にあるともう一つの腕が下流に位置し、すでに濾し取られた流れを利用することになる。また肛門の下流に腕があるのも具合がわるい。説得力がある。

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