1495 図書館魔女の蔵書票(エクス・リブリス) 大島真理
図書館より。郵研社。
格好いい書名に引かれて手に取った。長く司書を務め、大学で図書館学を教えた人らしい。その眼差しは揺るぎない。本や映画に描かれる不平等や差別に明かりを照らす。女性。貧困。民族。穢多。
特に二冊の本に心を引かれた。
『ハーレムの戦う本屋:ルイス・ミショーの生涯』では黒人の地位向上には「本を読まねばならない」と図書館以上の本屋を開き、マルコムXらを育て、交流の場所とした。
#ニグロが人間ではなく物であるという原因を探ると、知識の欠如だった。
もう一冊は『大地よ! アイヌの母神、宇梶静江自伝』。差別と貧困で苦しい生活のはずなのに、豊かな美意識と勤勉性を持ち、詩作やお芝居、古布絵作家として、アイヌの文化を守る。その哲学は自然と一体化している。
アイヌ共生空間ウポポイPRアンバサダーの宇梶剛士はその息子。
ほかにも『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』『バケモノの子』『ショコラ』なども読みたく(見たく)なる。
#たとえば秘書に罵詈雑言及び暴力をふるう国会議員もそうであるが、彼らに徹底的に欠如しているのは想像力を思いやりである。そして自らが差別されないと、その痛みは理解できないのだろうか。
#ブレイディみかこさんのような子育ては、自らも受けてきた差別があるのだろう。息子もその真っただ中にいる。マージナライズド(周辺化されている)という立ち位置、私もこれが好きである。中心にばかりいると何も見えない。
#2022年アカデミー賞は、『エール!』をリメイクした『Coda コーダ あいのうた』が受賞、アップデートしているという評価もあるが、原作の上質な部分が削がれ、ハリウッド映画になっていると感じた。
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