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1507 シェイクスピア名詩名句100選 関口篤・訳編

 図書館より。思潮社詩の森文庫。副題、永遠に生きることば。

 名詩名句を百羅列した本かな、と思ったらそれだけではなく、「マクベス」「ハムレット」「ジュリアス・シーザー」「ロミオとジュリエット」のストーリーを追いながら英文と日本語訳を紹介している。つまりは名作のダイジェストを読みながら、ときどき立ち止まり英詩を読むという旅のような形式になっている。「ソネット集」の永遠性にもページを割いている。
 英詩をすべて音読してみた。意味が取れないほうが多いのだが、それでも口にしたときのリズムは快い。頭韻、脚韻、14行詩。
 勉強になったこと。当時よく使われる「美しい」ということばは"fair"。「マクベス」の魔女の呪文は"Fair is foul, foul is fair." "your"に「世間一般の」という意味がある。ジュリエットは剣だけで死んだのではなく、口づけをすることによってロミオの口に残る毒薬も含んだ。

 詩は英語・日本語にかかわらず、青字で記す。

#馬をよこせ! 馬を! 馬をよこしたらこの王国をくれてやるぞ!
#血にまみれた代価で手に入れた王国が馬一頭に置き換わっている。
 「リチャード三世」より。

#But thy eternal summer shall not fade,
#Nor lose posesion of that far thou ow'st,
#Nor shall death brag thou wand'rest in his shade,
#When in eternal lines to time thou grow'st.
#だがきみの永遠の夏は色あせることはない
#きみのもっている美はなくなることはない
#死もその影にきみが迷いこんだと自慢はできない
#きみは生命の系譜の中で永遠と合体するからだ
 「ソネット集」より。自分の文学が永遠に残る自負がある。。

#Cowards die many times before their deaths;
#The valiant never taste of death but once.
#臆病者は 現実の死を迎える前に、あまたたび死ぬ。
#勇者は 死の味をただ一度味わうだけだ。
 「ジュリアス・シーザー」より。

#事態を放置するか、あるいはこれに断固介入するか、それが問題だ。
#当てにならぬもの、お前の名は女だ!
 作者が踏み込んで新しい訳を考案した。

#Let me be cruel, not unnatural.
#I will speak dagger to her, but use none.
#きびしく言う、だが、親子の情愛を忘れてはならん。
#言葉の匕首を突きつける。だが、匕首を用いてはならん。
 「ハムレット」より。
#speak daggerの簡潔さはシェイクスピアの独擅場。他の追随を許さない。

#おや、あの人が頬を手にもたせかけている。
#あの手袋になりたい。そうすれば
#あの頬をこの手でさわることができる。
#この時点でジュリエットは十四歳、ロミオはその少し年上。いかに中世とはいえ、まだ青い蕾の恋。
 たしかに子供っぽい。

#ロミオ 君の小鳥になりたい。
#ジュリエット あたしもそうしてあげたい。
#       けれども、可愛がりすぎて殺してしまうかもよ。

 シェイクスピアの招待について、面白いことを言っている。ストラトフォード・アポン・エイヴォンで生まれて洗礼を受けたA。劇作家や俳優として名を馳せたB。ストラトフォードで裁判の記録や遺書を残したC。AとCは確実に存在するが、Bと結びつかないというのだ。たとえばロンドンから引退し田舎に戻るときに、「シェイクスピア氏を見送る」などを別れを惜しむ記録がありそうなものだが見つかっていない。なるほど。

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