1530 ゆで卵の丸かじり 東海林さだお
文春文庫83番。表紙は半分からをむいたゆで卵と、口を卵型に開いたお団子ヘアの女性。もともとは口元にゆで卵があったが修正されている。
「苺をどう食べる?」が白眉。そうだよ、昔は苺はそのまま食べず、深皿に牛乳を注ぎ、砂糖をかけ、苺を沈め、苺のエンボスがされた先割れスプーンで食べていたのだ。甘くなかったのであろう。苺をつぶし、食べ終わったあとはその甘い汁を飲み干す。
#ぐじゃぐじゃ牛乳苺には歓喜のフィナーレが用意してある。
#苺を全部食べ終えたとき、容器の底に残っている苺と牛乳と砂糖の味の入り混じったピンクの甘い液体。
「ラーメンに海苔は必要か」では持論を唱える。
#だってラーメン屋の店主は苦心惨憺、血の努力でこれ以上のものはないというスープを作り上げたわけでしょう。
#そうだとしたらとんでもない話じゃないですか。スープに海苔を溶かし込むなんて。
丼の縁に海苔を何枚も挟んだ品なんて、「エリマキトカゲラーメン」と嘲笑している。
#大体名前からしてラー油なんて、いかにもいいかげんに、どうでもいい風につけられていて、いまから考えればもう少しちゃんとした名前をつけておいてあげるべきだった。
(ラー油を食べる?)
#しきりにという言葉は感じだと頻りにで、しげく、しばしば、ひき続き、むやみにポップコーンをつかんでは口に放り込み、またつかんでは放り込んでいる。
#とうもろこしで出来ているのにとうもろこしの味がどこにもないのも不思議だ。
#最近あんまり使わないが、くべる、という言い方でもいいかな。
#くべてるんですね、ポップコーンを口の中に。
「くべる」、天才。
(以上三つ、「しきりにポップコーン」)
解説は「孤独のグルメ」の久住昌之。「ショージセンセイの解説を私ごときが引き受けるなんて恐れ多い」で書き出される解説はつまらないの法則。
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