日曜日。スージーが季節限定のお菓子が欲しいというのでお菓子屋へ。なぜか閉まっていて三件目、スーパーの中の店へ。
三年前娘が高校入学説明会のときに「合格記念どらやき」が売られていた。注文すれば入学式に届く。帰り道に娘が「どら焼き食べたかった」。言えばいくらでも買ったのに。心に引っかかっていた。
高校二年生の夏、海外交流プログラムに参加した。ところがコロナでアメリカには行けず、留学生を呼んだり海外とズームでつないだり、価値はあるけれど、代金はちょっとした旅行に行けるくらいかかる。それでも娘は国際系志望なので申し込みをした。するとお菓子屋さんを含む同窓会さんが代金の補助をしてくれた。
店長さんを呼んでお礼を言う。「娘が高校を卒業しまして、東京の大学に決まりました」 あれ涙が。なんとか海外交流のことを説明し、「お世話になりありがとうございました」と言い切った。女性店員は「さっきまで社長がいたんですけれどねえ」。そこまでツキは持っていない私。
入寮の日のJRの切符を買う。スージーは新宿のホテル付き、44,400円。ポーシャは片道で18,800円。こまちは同じ号車で、同じ列。顔が見えて安心であろう。うまくすれば替わってもらって隣になれるかもしれない。
鏡を見て「今日の髪は一番きれい」とご機嫌。先週生まれて初めて美容院に行ったのだ。
「東京に連れて行くぬいぐるみを選ぶのに悩んでいる」 重大問題だ。
午後三時から買い物デー。友達が「ケーズデンキで買って仙台で受け取る予定」だそうだ。なるほど、ここで注文を受けて進学先のケーズから受け取ればいいわけだ。と思ったら違った。ただの地方発送だった。電子レンジで2,000円、炊飯器で500円。もったいない。「パソコンが欲しい。今のは重い」 今のって、サンタさんのだ。「予算いくら?」 さらに大学から来た推奨スペックのデータを見せる。CPUは5世代以上、メモリは8G以上。しかもMSオフィスは大学からロハでもらえる。ここにある機械のほとんどはMSオフィスが付いてくる。“アマゾンでオフィスなしのを探してくれない?” ポーシャは不承不承だが承知した。だって推奨スペックの機械は14万円くらいするのだ。
コメリへ。炊飯器はぼくらの山善のYJR-M05に即決。4,880円。ポーシャは「ケーズでは釜の厚さが書かれていた。厚いほどおいしいらしい」 ポーシャにはわるいがスージーが"食べらればいいのだ"と押し切った。その代わり電子レンジはポーシャの希望を通した。一番安いのはユアサプライムス、ゼンマイタイマーで物理的ベルが「チン」と鳴る。コース機能もオーブンもない。タイマーとワット三段階だけ(200-500-700W)。レトロフューチャーで面白いが、本人は「私は平成生まれ」と肯んじなかった。二番目に安い山善のPRW-F180。
学生会館はIHがあるのでIH対応片手鍋を買う。フライパンはスージーが"イオンの方が安い"というのでペンディング。包丁は「レッツクック子供包丁」スージーが"危なくない"と選択。まな板、メリットシャンプー、ビオレ泡ハンドソープ。コンバット。「先輩がゴキブリホイホイを買ったって、言っていた」 吟味して「ゴキブリの姿を見るのが嫌だ」と粘着式ホイホイではなくコンバットを選択。伸縮キッチンテーブルを気に入る。シンクの上に架け渡す拡張スペースだ。
ダイソーへ。キッチン雑貨を中心に。スポンジ。フィーリングコーナーパールとは何かと思ったらシンクの三角コーナーだった。ザル。なぜか圧縮袋を気に入る。掃除機もないのに。「掃除機は(会館から)借りられる」 まな板スタンド。ポリエチレン手袋。ランチョンマット。袋クリップ(食べかけの食品を閉じるもの)。キッチンタオル。菜箸は「コカ・コーラのがいい」。皮むきくん(ピーラー)。どうして? 「りんごを食べたい」 ターナー。お玉。
イオンへ。布団を下見。「充電ケーブルが欲しい」 百円ショップでは駄目か。「すぐ壊れる」 エレコムのMPA-FAC(1,280円)を購入。ワゴンの掛け布団・敷布団カバーをそれぞれ500円で購入。
「サーティーワン食べたい」 流石にお断りをする。
催事場で全国焼き物市が開かれている。有田が欲しいが空振り。マグカップコーナーが楽しい。歴代首相。魚偏の漢字。徳川将軍。寿司ネタイラスト英語版がかわいいのでは水を向けるも、「かわいくない」。「パンダがかわいい」 680円。パンダの湯呑は買うかも。
19:30終了。
月曜日。火災保険の件で保険屋さんに会社へ来てもらう。元気な若い男性。大学から来た紙に「会社や内容は問わないが年間で4,000円くらいの保険料」とある。この保険屋さんだと2,800円で済む。営業さんは大学から来た紙の保険の例を見て、"借家人賠償が必須なのでしょうか?"と指摘する。大学が「内容は問わない」と言っているのだから"こんな保険に入って秋田から来ましたドン!"と言い切れば"ダメ"とは言わない気がする。しかしプロの助言に従って大学に電話。借家人賠償は必須ですか。"はい必要です。なにかあったときに賠償するための保険ですから"と大学。けんもほろろ。結局大学の勧める保険に入るのがいいらしい。営業さんには遠くから来てもらって申し訳ない。"一歩進むお手伝いができてよかったです"と大人の対応。
昨日買いそびれた電源タップを購入。スイッチのあるなし一つずつ(WHS2533WPとWHA2433NP)。スイッチ式はランプだと切れるので押すと隠れていた赤色が見える方式。スージーに言われてスーパーから段ボール箱を四つもらう。
当のポーシャは夜更かしして昼頃起きて、中学の友達Hちゃんと遊びに行った。夜七時を過ぎても帰ってこない。スージーは「27日からは準備で忙しい」と言っていたのに全然準備も家事もしない、とご立腹。
これは推測だが、理解のある父親(!)と愛情たっぷりに世話を焼く母親に育てられて、なんでもできる優等生としてここまで来たが、一人暮らしという事態に戸惑っているのではないか。
マックスバリュで買物。すみっコぐらしのかまぼこがある。小学生のころポーシャは大好きだった。文具やキーホルダーを買ったものだ。パジャマも着ている。今はすみっコぐらしグッズを集めたりしないが、思い出に食べていってほしい。
午後8時ころ帰宅。「マック(マクドナルド)にいた」 大学生協の学生賠償責任保険(19HK)を申し込む。手数料が500円かかって9,000円。
「入学記念アルバムを買って。留学もあるから卒業はそろわないよ」 これも生協の企画で、撮影はダイビ、16,500円。
火曜日。布団を買いに行くはずがスージーが"片付けをがんばり過ぎて具合がわるい"。
仕送りの送金はゆうちょを使い、カードと通帳を秋田と東京それぞれで持つ計画だ。その練習に行こう。
「暗証番号を忘れた」
引き出したことがないから忘れるのも無理はない。問題はメモがないこと。中学生のころから"アカウントとパスワードはこのメモ帳に書きなさい"とデスクダイアリーを渡したのに。
郵便局到着。銀行から十万円をおろしてゆうちょに入金する。これは問題ない。"毎月十万円を仕送りするわけじゃないよ"と釘を刺す。
さて引き出しは。ポーシャがそれらしい暗証番号を打ち込む。エラー。三回失敗。窓口に相談。今日はもう午後六時前なので「窓が開いているときに」(窓っていうんだ)手続きに来てほしい。通帳、カード、印鑑、本人確認書類。まず回数制限のロックを外し、それらしい番号をいくつでも試す。それでだめなら番号照会の手続きに移る。仙台から手紙が送られてくるので一週間ほどかかる。ポーシャ「番号を変更できないのですか」と質問。それはATMでできる。メニューの下側に暗証番号変更のボタンがある。ただし"現在の暗証番号を入力"しなければならない。若くて親切そうな男性の局員だった。
イオンへ。フライパンを買いに来たはずが、スージーからチャットが来る。リポビタンD。3Dマスク。デシン(マキロンの安いの)。救急バン。バファリン。液体ムヒ。ロリエ。トイレットペーパーに悩む。入寮すると一巻きもらえる。あっちで買おう。ようやく、ふっ素フライパン。君のマイフライパンは真っ赤だねえ、と言うと笑う。100円ショップWでなぜか布団圧縮袋を欲しがる。スライド式とバルブ式がある。三袋買う。
スージーからチャット。"電気ストーブが壊れた。怖い"、"回すネジ壊れて、動かない" スージーはダイヤルまたはつまみをネジと呼ぶ。かつてクルマのエアコンのつまみが壊れたときもクルマ屋の店員に「ネジがネジが」と説明していた。カウンセリングの技法の"相手の表現を使う"を思い出す。
閑話休題。プラグを抜いて。"それが怖い" 一回倒して(地震で倒れるとオフになる機能)。
買い物は終わったはずだが、ポーシャが「お菓子が欲しい」。お煎餅がある。ママにチャットで尋ねる。
「星たべよと瀬戸塩せんべい、どっちがいい?」
"どっちも"
具合がわるくてもママはママらしさを発揮する。"中華丼できてるの買ってきて 頭痛くて動けない"
「中華丼ないや かき揚げうどんときつねうどん、どっがいい?」
"寿司ないの?"
ということで海鮮丼を買ったら"少ない"とスージーはお怒りである(ポーシャには冷やし中華を買った。今あるのか。『三月の冷やし中華』。映画のタイトルのようだ)。
帰宅。ポーシャがパソコンを欲しい。クリスマスにサンタさんがくれたライフブックがあるが、「重くて嫌」「サーフェスが欲しい」。
前日ケーズデンキで見たものはMSオフィスが入っている。タフス大学はオフィスをただでくれるのでもったいない。オフィスのないものを探す。
しかしサーフェスは高い。大学指定スペックの中古品を見つける。ライフブックU937。オフィスは入っているが、44,800円ならお釣りが来る。クレジットカードだからお釣りは来ないけれどね。
スージーがポーシャの食べ残しの豆腐味噌汁をくれた。礼を言えと言うのでやる気なく"ありがとう"と言ったら"鼻にかけた瀬川瑛子のような言い方をするな"と突っ込む。それにポーシャが「あはは、あはは、あはは」と大喜び。
ポーシャが中学生時代お世話になった人による人物評を伝聞で聞く。
“ぽわんとしていた生徒だった”
ぽけーっとしていたのか。いや。おとなしいけれど、いつもにこにこしていて、かわいいものを「かわいい」と喜んで、物腰は上品、になればいいなと思って育ててきた。
水曜日。早退して帰ったらポーシャはまだ郵便局に行っていない。
ポーシャが準備する間に車中泊の準備。
エアベッド。電池式ランタン。マルチツール(十徳ナイフ)。ラジオ。サンシェード。三角停止板。ガムテープ(ブルーシートを目隠しに貼る)。
持って行かないのはインバータ。昔はこれでノートパソコンを動かし、携帯電話を充電したものだが。
寝袋がない。あると思っていたが思い違いだったか。掛け布団で眠れるだろうか。明日セカンドストリートで買えたらいいな。
出発。書類は書いていた(偉い)ので提出。ただ言葉がぎこちない。
「カードの認証番号を忘れて別の郵便局の人からロック解除と番号照会の紙をもらったので出してもいいですか」 述語はそれか。認証番号でなくて暗証番号だ。
ロック解除して試すも、もう思いつかない。諦めて番号照会を申し込む。一週間かかる。とりあえずの生活費に、通帳と伝票(印鑑を押す)で五万円下ろす。
スージーから"大判焼を買って"とチャット。昨日行った郵便局の近くには大判焼の店があるから。今日は別の郵便局だ。なにをしても食べ物に結びつけるスージーの力に驚愕する。
「ABCマートに行きたい。スニーカーが欲しい」
ABCマートは(高校の近くの)街にある。この町にあるのはアスビーだ。大学入学前に新調したいのであろう。おしゃれは足元から。
一度ルコックも手に取ったが、ヒールミーというリーズナブルな価格帯のホワイトスニーカーを選んでいる。
「小さいピンクか、ちょうどいいブラックか」 大きいのは中敷きを敷けるが、小さいのはどうにもならない。
「黒ならどんな服にも合わせやすいよね」
「靴ひも欲しい」 青色の爽やかなのを選んだ。
「いい天気!」 本当に、雲ひとつない、春の空だった。
スージーから“あじまん買って”とチャット。大判焼がだめならあじまんを食べればいいじゃないアントワネット。ポーシャに任せるとクリームを二つ買った。ママはあんことクリームそれぞれ二つ買えと言うよ、と予言。
帰宅。「散歩に行こうよ!」
スージーは三十分くらい粘ったが、結局出発。最後の散歩かもしれない。くしゃみが出る。目薬を会社に忘れてきた。涙目になりながら散歩に行く。どんなに目がかゆくとも、この散歩には行く。
スージーは豈図らんや、“どうしてあじまんをあんことクリームの二つを買ってこないのだ”とご立腹。予想通り。
スージーはいつもの川沿いの散歩道ではなく実家へ向かう。おばあちゃんと面会。庭の白い花や梅を見る。おばあちゃんがポーシャの手を握る。もう泣く。
町内をあちこち歩く。ポーシャの保育園。バネ遊具にブルーシートがかけられている。「どうしてだめなの」と憤るポーシャ。
公園のテニスコート。“バドミントンができるね”とスージー。もっと来ればよかった。
公園で梅の写真を撮っていると、保育園帰りの男の子が近づいてきた。私に手を伸ばす。タッチ。その子はお母さんに“タッチしたよ!”と報告。お母さんは“ありがとうございます”と礼を言う。ポーシャは「かわいい、かわいい」と連呼する。なんだったのだろう(優しい人だと思われたのだな)。
その後しばらく写真撮影。梅。山。半月。桜はまだつぼみ。スージーが“ちょっとピンクになっている”と見つける。
雑談。
「社会の授業でリーバイ・ストラウスを答える問題が当てられた。わからなかった。先生が『いまジーパンはいているでしょう。どこのブランド?』と聞くから『ユニクロ』と答えた。大笑いされた」
「(同じ地区の友達の)Kちゃんは新潟に行って新幹線『とき』で東京に向かっている」
「(月曜日に遊んだ)Hちゃんが『卒検に受かった』。一回落ちたって。○中生がいっぱいいたって」
空はあまり暮れてゆかないが、空気は寒くなる。帰宅。
「ポケペイに入る?」「タフス大学ではタコペイだって。生協や学食でポイントがもらえる」
電子マネー決済は危ないので私は使っていない。よくわからない。とりあえず千円だけクレジットカードで払う。
(いっしょに住むのはあと二日、すべてを記録していたい…)
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