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1537 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り! 大森望 豊崎由美

 図書館より。河出書房新社。

 『騎士団長殺し』が出た記念に、SF者と書評家が村上文学を明るく笑い飛ばす。

 「SF者」の大森さんからすると『1Q84』の登場人物には「まず、図書館に行けと言いたいね」「いくらでも調べようがあるだろう」「月が二つあるとそれぞれに名前があるはずでしょ」と言いたい放題。
#〈男は肩を小さく震わせて笑った。「君はどうもサイエンス・フィクションを読みすぎているようだ」〉って。悪かったな!

#この「あらない」は流行語になりそうですね。調べてみると、もともと、国語的には「ある」の否定形で「あらない」という表現があるはずだったのに、「ない」だけで通じるからということで、消滅してしまったらしい。

*(頭脳明晰な)人物が、同じことを二度訊くと思いますか? 作中、免色さんは〈私〉に子どもがいるかどうか、上巻の206ページと下巻の139ページで、二度訊ねているんですよ。面識にとって「子ども」は最重要事なのであって、そういうことでうっかり二度訊きする人間とは、私にはとても思えません。

#画家のわりに絵のサイズをいちいちメートル法で言うのはどうか、っていう指摘もありましたね。普通は何号って言うじゃないですか。

 そして最高のくだりはこれだ。

#騎士団長があんなアドバイスをせずに、まりえがおとなしく免色さんに見つかっていれば、何の問題もなく家に帰されたはず。
#騎士団長があそこに出現しなければ、免色さんが「ああ、まりえちゃん、来てたんだね」とか言って、二人で親子(かもしれない同士)水入らずで話をして、「じゃあ、車で送っていくよ」とか言って、まりえがちょっとバツの悪い思いをする以外は、何の害もなく終わってたんです。

 きっと収録なので日本語がくだけ過ぎなのはご愛嬌。

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