週刊ポーシャ20230304
日曜日。受験を終えたポーシャを迎えに行く。接続に間に合わないから遠くの駅に迎えに行け、とスージーは言うが、ポーシャはしっかり接続して近くの駅までやってきた。
9:55着。"おかえり!" 思わす声が高くなる。学校の制服だ。「着替える時がなかった」 つまり制服で一日試験を受けて、そのまま夕食をとり、夜行バスで帰ってきたのだ。ごはんについて尋ねる。「お昼はママの作ってくれたごはん。夜はコンビニ。朝はホテルのバイキング。昼もコンビニ。夜はパンケーキ。パンケーキ専門店で唐揚げがついた。朝は食べていない」
昨夜はお風呂に入っていないので、ゆっくり入浴。
学校のアンケートにネットで答える。「英語スピーキングテストって面接? 実技試験?」
精根尽き果てたポーシャを起こしてイオンへ。パンプスが欲しいが起きられない。ママも寒くないように首まで長く伸びる黒いシャツを買う。「4Eを探して」 私に似て足の幅がワイドだ。23.5または24。その前に大型書店で第三希望のK大学の赤本を買う。
ママの試着の間に入試のことを聞く。
「世界史で米西戦争のイラストに、題名をつけるというものがあった。知るか(啓蒙なんとかと答えた)」
「リスニングはイギリス英語。ウォーターとか(アメリカ英語のワラァではない)」
「plagueという単語がわからなかった(疫病)」
「長文には下線がなかった。ふつう下線が引かれたところを問われるのに」 つまり的外れな解答をする危険性があるわけだ。
「共テだけれど『芥川龍之介』と書こうとして、『芥川龍』までは書けたけれどあとはわからなくて『芥川龍ノ介』と答えた。正解は『福沢諭吉だった』。『西洋事情』という語句があって、芥川が西洋文化を批判している記憶とごっちゃになった」
「帰ったら英語小論文を書く。20分で200語を書く練習をしてきたから大丈夫」
帰宅してK大学に出願。三度目なので慣れたものだ(タフス大学やS大学とは異なるシステム)。しかし証明写真で戸惑う。写真の上に表示される枠を動かすのではなく、枠は固定で顔写真を拡大縮小移動して合わせるのが理解できない。やってやる。「そういうことか」
宛名の"行"にちょんちょんと足して御(中)にする技術を伝えたが「それは嫌」。角2封筒にA4の宛名を貼り付ける。「中心どこ」
そして恒例(三度目)念送りの儀式。受かれ、受かれ。ごーかくー!。
「合格合格、最後の砦!」
ポーシャが寝たのは午前四時。私が三時にトイレに起きたら彼女はお風呂に入るところだった。
月曜日。登校。私は休憩時間に第二志望のS大学の願書を郵送する。700円。ポーシャは午後四時には帰宅している(グーグルマップ)。私が帰ると居間で毛布をかぶって昏昏と寝ている。大きな声で会話をしても起きない。受験で精神的に疲れ、昨日も寝ていないから。
火曜日。朝から部屋に来る。先生に贈る400円。花束だろう。小論文の本を買ったから1,100円。S大学の去年の小論文を印刷する。「日本社会のしくみ」(小熊英二)より。印刷物がプリンタから落ちて昨夜の食べ物の上に落ちそうになる。慌てて受け取るポーシャ。そういえば制服を着ている。
20:07着で帰宅。最後の"放課後"を友達と楽しんできた。「制服なのは儀式だから。AO入試で合格した人とは久しぶり。表彰があった。全国大会や献血。六回とか八回とか。四十回の先生もいた」
プレゼントは校章がプリントされたドリンクボトル。
「卒祭ではスライドショーがあり学校祭のところで自分が写し出された。自分たちのバンドのユーチューブ動画が勝手に使われた」と複雑な口調。カメラで撮ったのではないか。「最後につけているチャンネル登録がなかったのでそれはない」「ラグビー部のコント、野球部の一発芸があった。部活動歓迎会の練習みたい。ダンドウが盛り上げた」 ダンス同好会のことだと教えてもらう。「学年主任の先生が歌った後ろでほかの先生方がけん玉をした。最後の先生がけん玉の達人というのがオチ」
「同窓会の話が長かった。おじいちゃんと三十代で三十分間」「合格が決まっていないからそんな気分じゃない」
私は準備。カメラの充電。ビデオも充電。SDカードのデータをPCに逃がす。三脚。礼服。白ネクタイ。タイピンは100円ショップでなくてレノマ。革靴。
水曜日。ポーシャ卒業式。いつも通り6:37発で行くはずが時間を過ぎてもお化粧をしている。7時過ぎに我々夫婦といっしょに出発。時間を気にする。卒業生登校は8:30だがその前に課題を提出したり新聞委員会の先生にみんなで贈り物をしたりすることになっているのだ。ご機嫌斜めで写真も「嫌」。
ポーシャとスージーを学校に置いて施設Nの駐車場へ。学校から"近隣の店などに停めないで"と言われている。いま運気を下げたくない。40分歩く。体育館へ。受付。ポーシャは何組だっけ。この組でもない、あの組でもないと迷っていると先生から"生徒のお名前は?"と助け舟。"文系はあちらですね" 娘の学級もわからない父親。
体育館に入れば入ったで、スージーを見つけられなくて往生する。あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。40分歩いて体温が上がって額は汗に濡れ、眼鏡が曇る。
来賓入場。応援歌らしきものを吹奏楽部が演奏するのがおもしろい。式が始まる前に来賓の挨拶(おめでとう)を済ませてしまう。
卒業生入場。ニュルンベルクのマイスタージンガー。ビデオカメラと一眼レフでポーシャを追う。
卒業証書授与。呼名された生徒は起立する。学級全員が呼ばれると代表が(学級委員長か)が壇上で校長から証書を受け取る。もらった証書をすぐに壇の下のテーブルに置いてくるのがおもしろい。
校長、PTA会長祝辞。生徒会長の送る言葉。卒業生代表の挨拶。"○高生ということばが辞書にあったら、なんと書きますか"という問題をOBからもらったという話。応用が効きそうだ。
校歌斉唱。吹奏楽部の練習では一番でやめていたが、なんと五番までのフル演奏。
わたくし、なんと三十三年ぶりに校歌を歌う(あとで考えたら同窓会で歌ったかもしれない)。そうだよ当時は自分の能力と可能性を信じていた。青雲の志を持ち、己を修めて世のため尽くすと誓ったではないか。今はなにをしているのだ。がんばろう、私。
すっかり感情が揺さぶられて卒業生退場。曲は「3月9日」。嫌が応にもカロリーメイトのコマーシャルを思い出してしまう。万感の思いを込めて手を打つ。
ポーシャのクラスが立った。こちらを向く貴重なチャンス。うなれニコン。連写。ダークブラウンの髪をポニーテールにまとめ、ブラックのスーツとママが若いときの白いシャツを着て、初めてヒールのある靴をはいたポーシャはすっかりお姉さんである。シュシュもスージーとお揃いだ。
10時に始まり11時半に終わった卒業式だが、生徒はなかなか出てこない。スージーに言われて私はクルマを取りに行く。途中、娘と父が"卒業式"の看板前に立ち、母がスマホで写真を撮っているところに出くわす。声をかける。写真をお撮りしましょうか。よいことをした。
徒歩45分。駐車場は600円。
戻ってきた。廊下で学年主任の先生と遭遇。スージーがお礼を言う。“ポーシャは優秀で、昨日もがんばっていましたよ” その一言だけで強くなれる。
スージーが担任を見つける。凛とした女性だった。スージーと担任の"ツーショット"を撮影する。
15時になってやっとポーシャは出てきた。盆栽の松が下ろされた体育館で記念撮影。そして日の丸がはためく"卒業式"の看板のある階段で写真を撮りたいのだ。入学式のときは撮れなかったから。鞄は道路の向こう側に置く、家族写真は次に並んでいる人にお願いする、という合理的なローカルルールが自然発生しているのがおかしい。
先に解散になったクラスの生徒(決まって女生徒)がスーツでぱたぱたと走っている。大人はスーツで走ったりしないんだよ。そんなことをするのは今だけ。かわいらしい。
ポーシャはバンドの友達(Ba)と食事をしたいのでいったん別れる。と思ったらさっきの看板フォトスポットに並んでいる。
我々は紆余曲折あって(例えば、ある店に入ったら、夜の営業は午後五時から)はま寿司へ。初めて入る。タッチパネルも初めて。高速ベルトコンベアも初めて。スージーはうにが大好き。メロンソーダも大好き。栗蟹も大好き。
18時、駅でポーシャを拾う。雨が降ってきた。
「明日(木)、明後日(金)も登校して勉強する。来週月曜日に登校するかどうかは金曜日に決める」 来週月曜日とは合格発表の日だ。
三人でクルマで帰宅。道中ポーシャは「「○ちゃんと写真を撮ったっけ?」「この写真を送るのは(だれそれ)…」とラインで送信するのに忙しい。
私は悪魔がはくような爪先の長い靴をはいていたので、爪先を持ち上げる歩き方を続け、すねに筋肉痛を感じる。二三日続いた。
木曜日。朝に部屋に来る。「メールに送ったから印刷して」 令和三年度(二年前)のS大学の小論文「文系は役に立つか」(吉見俊哉、『「文系学部廃止」の衝撃』)。“自然科学は人間の外の学問だが、文系の学問は人間の内側の学問” 感動する。
卒業式を終えても合格するまでは登校。16:14着で帰ったようだ。
「(第三希望の)K大学の入試に連れて行ってほしい」 バスを探したがなさそうだ。わかった。そうなったらもうスクランブルだ。仕事など休む。
金曜日。15:19着(もちろん私は仕事中なのでスージーが迎えに行く)。ひな祭りにスーパーで買ったちらし寿司といちごを食べる。
土曜日。ずっと寝ている。11時ころお風呂に入る。
スージーによると「腹減った、早くご飯作って」と言いながら寝てしまう。17時ころスージーに“ご飯できた、起きれ”と言われ、「眠る権利もないの」と不平を鳴らす。合格発表まで41時間。甘えているのだ。スージーが作ったのは焼きそば。
スージーに理系だったらなにを取っていた、と聞かれ、「生物はきもいから無理。物理はもっと無理。社会の三つだったらやっぱり世界史かな。日本史は漢字が多すぎる。世界史ならシャーペンの芯が減らない」。きもいって言うんだ。「やばい」と言うたびに注意していたが、「きもい」は初めて聞いた。
すみっコぐらしの黄色ボーダーのシャツを着ている。中学生のころ買ったものではないか。
スージーの写真を加工して顔をたくさん表示している。YMOの増殖みたいだ。次はドラえもんを描いている。
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