図書館より。講談社現在新書。副題、灘高が教えてくれた「超」合理的メソッド。
灘中高、東大を出て、国家公務員試験に受かり、NHKアナウンサーを務め、加藤紘一の秘書となり、現在は受験うつの医者、という華やかな経歴。それが一時期うつになり灘高の校長に声をかけられて受験技術を教えてもらった、というのだから話としておもしろくないわけがない。一気に読んだ。
壁じゅうに学習内容を貼る「四面楚歌学習」のような泥臭いものから、赤は心理的に警戒するので普段は赤ペンは使わない、両手を腰に当てて仁王立ちする「スーパーマンポーズ」はやる気が出る、などユニークな技術まで、楽しい。
中学生で東北や海外で一人旅をしたり、大学ではテニス、百人一首、劇団、旅行サークルを立ち上げ(!)たり、パワフルな人だ。アイドルオタクで芸能人水泳大会をビデオに撮ってご褒美に見た、という話がおかしい。
#息を吸うときには交感神経の刺激で緊張はむしろ高まり、息を吐くときに副交感神経の刺激で心が落ち着くのです。
#「宇宙戦艦ヤマト」というアニメに登場した真田さんという技術者に憧れたのが灘中学を志望したきっかけでした。
中学生になり宇宙戦艦ヤマトの建造はあきらめるが、勝山校長は励ますように言う。
#国家プロジェクトのリーダーにはなれますよ。東大に入れば……。宇宙開発事業団とか……
東大を目指す生徒には「赤門」の写真を撮る。クリニックは赤門前にあるので一緒に行って写真を撮ってあげる。
#人間を含め、大半の哺乳類は、脳内の奥深い部分にある脳幹と呼ばれるところから伸びるA10神経が興奮するとヤル気が高まる仕組みになっています。これは、頑張ればすぐに恩恵が得られる場合にうまく機能する
受験は数年、数カ月後に結果が出るのでA10神経の興奮が続かない。だから写真を見て気持ちが高まるようにするというのだ。
*特に大事なのは、口角をあげることと、目尻にシワを寄せカラスの足跡を作ることです。この2つの条件を満たす笑顔は「デュシェンヌ・スマイル」と呼ばれ、脳に前向きな気分をもたらし、想像力を高める作用があることが実証されています。
*精緻化リハーサル; すでに自分が持っている知識と関連付けながら構造を理解すること
だから単純暗記の「赤マーカー緑シート」は「役に立たない」とまで言う。範囲が狭いテストでは間に合うかもしれないが、知識を使いこなす能力には結びつかない。
#情報リストラ
#sin(α+β)=sinαcosβ-cosαsinβ
これをここまで縮める。
#s(+)=sc+cs
#英単語の記憶法は4つの型に持ち込め!
#①外来語になっていないか
#②語源が説明できないか(中学の段階ではまだ分解できない)
#③他の単語と類似点や相違点はないか; tainは「持つ」 obtain「獲得する」, abstain「棄権する」, entertain「座が持つ→楽しませる」
#④語呂合わせができないか; kennel「犬寝る」、opportunity「オッパイにチュ~する機会」
*ドイツの断面が長方形の鉛筆; 定規持ち込み禁止の試験のとき、定規代わりに使う。それ以前は受験票を折って使っていた。
#私がNHKに勤務していた時代には、漢字が長くつながった用語は「戒名」と呼ばれていて、使用すると上司からお目玉をもらったものです。
「包括的核実験禁止条約」は「包括的核実験禁止」までマーカーを引き、脳をラクにしてあげる。また「包括的に核実験を禁止する条約」とひらがなを入れる「漢文書き下し式勉強法」も効果的。
*被験者に赤い色を見せると、ヤル気が失われ、IQも低下する(イギリスのロチェスター大学)
*赤色に行動を思いとどまる効果がある(カナダのブリティッシュ・コロンビア大学)
間違ったら赤ペンでバツをつけるべし。
*ケアレスミスのチェックは両手で
*数字をマルで囲む
かつてNHKで、湖にバスが転落して死者が出たという緊急ニュースで慌てて字を書いたため、「十一人」を「土人」と誤読し、アナウンサーは「湖にバスが転落し、土人が死亡しました」と読んでしまった。読み間違いと放送禁止用語のダブル失敗。そこでNHKでは算用数字のみを使い、マルで囲むというルールにが生まれた。4と千の区別もできる。
*多くの受験生を問診していて残念なことは、試験でケアレスミスをしてしまうことを自慢する受験生が少なくないということです。
*「ケアレスミスがなければA判定でした」などと得意げに語る
マークシートの選択肢は4段階で評価する。
○ 正解で決まり
△ 確信はないが正しそう
/ たぶん間違い
✕ 間違いで決まり
「/」に「\」を引けば「✕」になる。「/」に線を二本足せば「△」になる。
*スタンディング勉強法; 立ち上がることによって、脳の奥深い部分にある脳幹網様体と呼ばれる部分が刺激を受け、脳全体が覚醒するため、集中力がアップしてくれます。
#模擬テストを通して最も習得しなければならないことは、時間配分のテクニックです。
*大問に入るごとに、時刻を4桁の数字で書き残しておく
*ヤーキーズ・ドットソンの法則; 脳機能は緊張感がなさすぎても過剰でもダメ
*(英語で)昔は複雑な構文が組み合わされた難解な文章をじっくりと読ませるような出題も多かったのですが、最近では平易な文章を短時間に大量に読ませる出題形式が主流です。IT革命によって英語の情報が氾濫するようになり、上手に読み飛ばして必要な情報だけを拾い集める能力が現場で求められるようになったためです。
段落ごとに余白に要約を書く練習を勧める。
#復習は、他のすべての選択肢のそれぞれが、どの部分がどう間違っているのか正確に指摘できて始めてその問題はほんとうの意味でクリアできたといえるのです。
これはそのとおり。
*試験に勝つためにカツ丼を食べるのは愚の骨頂; 当日はよくない。血液が消化器官に送られ、脳に送られる血液が減らされる。おすすめはコンビニのおむすび。カツ丼は試験直前でなければよい。
*眠気は「グーパー体操」で吹き飛ばせる; 両手、両足の指でグーパーと開閉させる。
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