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2089 ショージくんのほっと一息 東海林さだお

 神田@ワンダー。文春文庫6番。

 表紙は椅子に腰掛けてビールジョッキを掲げている作者。後ろに赤ちょうちんと、三つの黄色い光点で、ビアホールを象徴する和田誠さんの仕事。

 一本を選ぶなら「オドロキモモノキ アリ‐イノキ」であろう。「世紀の迷勝負」の顛末を、冷ややかかつせこい視点で眺めている。

#第六ラウンドで、初めて猪木はアリを抱きかかえるのに成功した。だがその抱きかかえ方は、なんというか、非常に高価な陶器かなにかを持たされてしまって処置に困っている、というようなおもむきがあった。

 また、お嬢さんとの二人旅を含めた家族旅行を収めているところも、希少価値が高い。

#飛び上がってぼくは、おうちが小さい、だの、海だ、船だ、雲だとひとしきりさわいでいたが、スチュワーデスが「少女フレンド」を貸してくれると、興味はそちらの方に移ってしまった。
#父親ははなはだおもしろくない。
#この日のために、父親は一週間足が地につかず、仕事もはかどらず、そうしてやっとこの晴れの日を迎えたというのに、娘は早くも「少女フレンド」に視線をおとしたままである。
#大臣のご来臨を仰ぐために県知事が、道路をなおし、橋を塗り替え、歓迎の人並みもそろえ、大わらわで晴れの日に備えたのに、大臣はどうも芸者の方にばかり興味を示し、いっこうに知事の苦心に意をはらってくれない、どうもそういった感じである。
(九州 子連れ旅)

#五億とはいわないまでも、ウエの方に話を通してもらうためには巨額の金が必要なことはこの国の常識である。
#ウエの方に「よっしゃ、よっしゃ」と取りついでもらうには、やはり巨額の金が必要だったのである。
#政治家はダメだが、そのかわりにいい神様がいっぱいいてくれるのである。
(試験の前の神頼み)
 ロッキード事件であろう。

#やっぱりモミですね。なぜかというとモミの木は建築には向かないんです。やわらかいし、腐りやすいし、その代わり木肌が白い。それでお棺はモミの木ということに。
(お棺ただいま製造中)


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