2106 長生きは老化のもと 土屋賢二
図書館より。文春文庫。
表紙はヨシタケシンスケ。つるっぱげの老爺といじわるばあさんヘアの老婆がおそろいの赤のジャージでウォーキングをしているそばを、青いワンピースの少女と犬が走り抜ける。なんでこんなに詳細に表紙を叙述しているかというと、ツチヤ先生一冊の本で二度書評を書いたことがあるからだ。
コロナ禍真っ盛り(まずい表現)のなか、ワクチンと老化についてボケ倒す。「老人ホームにいる」という文言があるが、「妻に掃除しろと言われる」という恐怖もある。施設にいるのか、自宅にいるのか。
#おかわりが無料かどうかの心配に、「そんなにケーキを食べて大丈夫なのか?」と財布の心配が加わる。さらに財布を忘れていないか心配になる。支払いの金がなければ、妻を人質に置いて金を取りに帰るしかない。その場合、わたしはそのままホテルに戻らないという魅力的な選択肢が生じる。わたしが姿をくらますと、妻は皿洗いかトイレ掃除をさせられるだろう。その間にわたしが引っ越しする一方、妻は掃除に生きがいを見出し、人生の終わり近くになってやっと天職に出会えたことを知り、八方めでたしめでたしになるような気もするが、妻が金を取りに帰り、わたしが掃除に生きがいを感じるようになるかもしれない。
(無駄な一日)
#大きい物体を操って高速で移動したがるのは、本能的なものだ。人類はイヤがる動物をつかまえ乗ってきた。牛、象、ロバ、馬、羊、猿、鳥、犬、亥など。
(自動車の憂うべき未来)
本書最高のギャグである。見習いたい。
#ここには重要な心理がある。紀元前五世紀の古代ギリシアで奴隷の身でありながら「わたしは何と自由なんだ! 何もかも思い通りだ!」と叫んだ詩人アルキクセノスをご存知だろうか。知っていると答えた人は、わたしがさっき考えついた人物をどうやって知ったのか説明してもらいたい。
(従順のすすめ)
#成熟度の上では、人間的には中学生と同程度、体力的には五歳児程度だ。電車に乗っても席を譲られることもない。だから若いとしか言いようがない。
#だが外見はどう見ても老人だし、身体の不具合の原因は「加齢です」(「華麗です」と言われているのかと思ったら老化のことだった)と言われるから、年老いているはずだ。
(年老いているのか若いのか)
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