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2104 漢方で感染症からカラダを守る! 渡辺賢治

 図書館より。ブックマン社。

 日本の漢方医の第一人者が、いかにして漢方は感染症に負けない体を作るか、丁寧に解説する本。漢方だけに詳しいのではなく、ウイルスの基本から説いてくれる実力に説得力を感じる。
 西洋医学は原因にピンポイントで作用する。漢方はまず医者が患者が実証(力がみなぎっている状態)か虚証(弱々しい状態)かを診る(『ぬさり道』でもありましたね)。証に応じて様々な漢方薬を与える。特に著者の医院では顆粒でなく煎じ薬を出す。分量の調節や混合が容易だからだ。そして生体防御能を高める。だからこそ、どんな感染症に対しても、未知のウイルスであっても、漢方は効く。

清肺排毒湯; 今回の新型コロナウイルス感染症に対応して、新たに中国で開発された薬。
 本来は患者の状態に応じて薬の種類を選ぶが、今回のパンデミックでは診察が追いつかなくなったため、万能コロナ対策漢方薬として生まれた。

#たとえるなら、生物は細胞の中に自らを複製するための設計図から生産設備まで持っている工場であるのに対し、ウイルスは設計図だけ入ったカプセルなのだ。
 だからウイルスは生物の細胞に入り込み、細胞の「コピー機能」を勝手に使う。生物の細胞分裂より、「コピー機能」の方が速い。インフルエンザウイルスは細胞の100万倍の速度で増える。インフルエンザやコロナの設計図はRNAで、DNAより不安定である。それだけに進化の速度が速い。

#たとえばインフルエンザウイルスなら、基本的に喉から肺にかけての上気道といわれる部位の表皮細胞で増殖する。それ以外の細胞には侵入できないのだ。皮膚に接触したり、食物と一緒に飲み込まれて胃に入ったりしても、皮膚や胃の細胞に入ることはない。
 新型コロナウイルスはどうなのだろう。読み返してみたが、見つからなかった。

#細菌に感染するウイルスもあり、総称してバクテリオファージと呼ばれている。

#発熱して苦しいと「早く熱を下げたい」と考えがちだが、漢方では熱は敵ではなく、生体防御のための味方であると考える。したがって熱を下げるのでなく、早く熱を上げてしまおうという発想をする。
#『傷寒論』に出てくる「葛根湯」、「麻黄湯」、「大青竜湯」などはいずれも体温を上げ、結果として発汗を促す処方である。
 風邪をひいたら栄養のあるものを摂って布団をかぶって寝てしまおう、という考え方をしばしば聞く。これだ。

#私の学生時代、呼吸器内科の試験で「風邪の治療法を書け」という問題があった。正解は「安静・保温・保湿」であった。これは2000年前でも、今日でも変わらない。

*薬局リスト; https://kampo-promotion.jp/topics/items/docs/20201119120341.pdf

#睡眠中、脳はまったく休んでいるのではなく、深い睡眠の「ノンレム睡眠」と、浅い眠りの「レム睡眠」を、平均すると90分ほどの周期で繰り返しており、この周期が4~5回というのがベストの睡眠サイクルとされる。

 症状がひどくなり、肺炎以上になったら漢方だけでは不足で西洋医学の力を借りる。この見極めも見事である。


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