8 航海術 茂在寅男
副題、海に挑む人間の歴史。中公新書。お名前は「もざい・とらお」と読む。
お勧め。
初版は昭和42年で、私が生まれる前だ。なんせ著者は大正3年生まれ。
筆致は軽快で迷いがなく、船乗りのロマンティシズムをも感じさせる。
沿岸航法、推測航法、天文航法、電子航法と進んできた人類の歩みを明確に述べる。大航海時代、バイキングはもちろん、遣隋使、コンチキ号(ヘイエルダール博士だよ)、ジョン万次郎も出てくる。海の男オールスターという風情である。
個人的になるほどと思ったのは、緯度を計るのは比較的容易だが(北極星でわかる)、経度を計るのに人類は苦労してきたという点だ。
ドッグイアー。
#平清盛は日宋交通に期待をかけ、宋船を博多からさらに国内に来航させるため、福原の近くの兵庫に築港した(ほどである)。
#彼ら(注・蒙古軍)はまず壱岐島を荒らしたが、その残虐性は想像以上だった(ムゴイという言葉はこの時の蒙古から転じたと言われている)。
【付記】2007年現在、ご存命のようである。びっくり。
「言語学のお散歩」の金川先生のページにも登場する(金川先生は富山「商船」高等専門学校の先生だからね)。
【2025付記】
「言語学のお散歩」サイトはなくなってしまった。手元に『ライ麦畑のキャッチボール』『おいしい日本語』がある。『脳がほぐれる言語学』を読んだ記録はあるが、本棚のどこかにある(見つからない)。
茂在寅男先生は2013年5月31日に亡くなっていた。日本初のヨットで出身地の筑波から東京湾まで航海したり、東京商船大学の歌を作ったり、元寇の遺物やチチカカ湖を水中調査したり、伝説の人物である。
残念ながらこの本は楽天には出てこないようです。
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